野村株主還元70(2529)、One・高配当日本株(1494)の比較

安定分配が期待できる国内ETFで非課税期間無期限になった場合の恩恵を

NISAの恒久化が検討されています。

NISA口座を利用して、米国の個別株やETFに投資をするのも良いですが、非課税なのはあくまでも日本国内での課税であって、米国株の場合は10%の外国税は適用されてしまいます。

国内株で安定的に配当を出す銘柄や、銘柄を分散しつつ安定的な分配が期待できる国内ETFであれば、無期限に完全非課税で配当金や分配金が受け取れますので、税制面では投資妙味が出てきます。

銘柄を分散しつつ安定的な分配が期待できる国内ETFして、今回はNEXT FUNDS 野村株主還元70連動型上場投信(以下、2529)とOne ETF 高配当日本株(以下、1494)について取り上げます。

今回、筆者が興味を持ったこの2つのETFは、ただの高配当株ETFではありません。

2529は株主還元を積極的に行っている会社に分散投資できる点、1494はS&P/JPX 配当貴族指数という10年以上増配または配当水準を維持した実績のある銘柄に分散投資できる点が魅力です。

証券コード25291494
名称NEXT FUNDS 野村株主還元70連動型上場投信One ETF 高配当日本株
連動指数野村株主還元70S&P/JPX 配当貴族指数
重み付け浮動株調整時価総額でウエイト付け
(ウエイト上限は2%)
配当利回り加重平均
1 銘柄あたり5%の上限
基準価額1,218
(2022/12/07)
20,414
(2022/12/07)
投資対象日本国内の全上場銘柄

金融・保険業を除く全上場銘柄の浮動株調整時価総額概ね上位85%
過去3ヶ月平均売買代金上位500位の銘柄

ユニバースからネット総還元利回り※上位70銘柄を選定
浮動株調整時価総額ウェイトは上限2%
TOPIX(東証株価指数)の構成銘柄
時価総額500億円以上
日次平均売買代金3億円以上
10年以上毎年増配または配当水準を維持
配当性向:10%以上100%以下
配当利回り:10%以下
投資対象外東証33業種分類の「銀行業」、「証券、商品先物取引業」、「保険業」、「その他金融業」
リバランス年1回年1回
毎年7月
純資産総額119.9億円
(2022/12/07)
200.58億円
(2022/12/07)
上場日2019/04/192017/05/23
売買単位1口1口
分配利回り3.12%3.37%
経費率0.308%0.308%
構成銘柄数70銘柄40~50銘柄
野村アセットマネジメント

筆者は配当利回りの高さを追求するよりも、安定配当や増配を重視します。

この2つのETFに興味を持った理由は、株主還元に積極的な企業や、10年連続増配をしている企業ならば今後も増配に期待が持てるだろうと想像したからです。

野村株主還元70(2529)はインカムゲインもキャピタルゲインも狙えるか?

株主還元は配当もしくは自社株買いという手段があります。

米アマゾンのように配当ではなく自社株買いの方を積極的に行っている企業もありますので、この2つのETFを比較した場合、2529の方が値上がりが期待できそうな印象を持ちました。

2529はインカムもキャピタルも狙えるETFなのではなかという最初の印象です。

また重み付けの違いからも、そのような仮説を持ちました。

1494は配当利回りを重視した加重平均、2529は時価総額を重視した加重平均となっています。

値動きの違いについては後ほど見ていきます。

野村株主還元70(2529)、One・高配当日本株(1494)どちらのほうが魅力的か?

経費率は2つのETFで同じ水準です。

米国の高配当ETF等と比較すると経費率は高い水準です。

1494は配当利回りを重視したウェイトになっているので、利回りが高くなっているのかもしれません。

しかし、配当利回り10%以下という条件がついているのと、1銘柄あたり5%までのウェイトになっていますので、2529と比較して、結果的に分配利回りの大きな違いはありません。

自社株買いに伴う株価の上昇を通じて株主還元をする会社もあると思いますので、おそらく2529の方が若干利回りが低くなっているのではと想像します。

2529の方が少額で投資ができて、構成銘柄数もやや分散が効いていますので、筆者の場合は総合得点として2529の方が魅力に感じました。

野村株主還元70(2529)、One・高配当日本株(1494)、TOPIX(1306)、S&P500(SPY)の値動き比較

以下のチャートは2529の設定来の値動きを比較したものです。

赤が野村株主還元70(2529)、青がOne・高配当日本株(1494)、緑がTOPIX(1306)、黄がS&P500(SPY)を示しています。

2529と1494は比較的近い値動きをしており、2529は設定来、TOPIXと遜色のない動きをしています。

2529は1494と比較して、キャピタルゲインも狙えるETFなのではないかという仮説を持っていました。

2529の設定来では、ややそのような傾向があるかもしれませんが、2021年度は若干1494の方が成績が良かったので、年によっては必ずしもそうならないという結果でした。

ただ米国株が軟調であった2022年は、他のETFよりも2529が堅調であることがわかります。

野村株主還元70(2529)とOne・高配当日本株(1494)の構成銘柄重複

以下は野村株主還元70(2529)とOne・高配当日本株(1494)の構成銘柄の重複を見たものになります。

重複銘柄の各ETFに占める構成割合を見ると、3割も占めていないことから、ある程度投資対象が異なることがわかります。

銘柄コード銘柄野村株主還元70One・高配当日本株
4502武田薬品工業2.26%3%
9433KDDI2.14%2.65%
9432日本電信電話2.12%3.49%
2503キリンホールディングス2.05%1.81%
5020ENEOSホールディングス1.89%2.86%
1925大和ハウス工業1.67%2.11%
1801大成建設1.49%2.01%
1802大林組1.32%2.23%
4042東ソー0.78%1.87%
3231野村不動産ホールディングス0.73%2.21%
2784アルフレッサ ホールディングス0.58%2.12%
4061デンカ0.48%1.99%
合計(Total)17.51%28.35%

両ETFとも、1銘柄のウェイトに上限を設けています。

2529の場合、時価総額加重平均ではありますが、1銘柄あたり2%のキャップが設けられていますので、本来ならTopの銘柄が10%を超えるところを、必然的に抑えられて銘柄分散されていることがわかります。

先程の表の銘柄は野村株主還元70(2529)とOne・高配当日本株(1494)両方の特徴を併せ持つ優良銘柄と言えます。

具体的には以下の条件を併せ持つ銘柄と言えます。

  • 配当、自社株買い等の株主還元を積極的に行っている
  • TOPIX(東証株価指数)の構成銘柄
  • 時価総額500億円以上
  • 日次平均売買代金3億円以上
  • 10年以上毎年増配または配当水準を維持
  • 配当性向:10%以上100%以下
  • 配当利回り:10%以下

個別銘柄の投資をする上でも、ETFの組入銘柄は参考になりますね。

分配金の成長

以下は分配金の推移を見たものになります。

野村株主還元70(2529)とOne・高配当日本株(1494)は上場以来毎年増配中であることが分かります。

今回の内容が参考になれば幸いです。

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