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増配ETFと呼ぶにふさわしい米国ETFは?
前回、以下の記事で米国高配当株ETF(VYM、SPYD、HDV)の長期分配金推移を紹介しました。

この3つのETFで唯一リーマンショックを経験しているのがVYMのみでしたが、さすがにVYMであってもリーマンショックのように比較的長期で株価を押し下げるような局面では分配金も下がっていることが分かりました。
ちなみに直近のコロナショックでは暴落からの回復が早く、年単位では減配を回避することができました。

筆者は米国の個別株にも投資をしており、保有している個別株のほとんどが配当貴族と言われる25年以上連続増配をしている企業です。
25年以上増配をしているということはリーマンショックもまたいで増配し続けているということですので、かなりすごいことだと思います。
個人投資家にとってのキャッシュフローである配当金や分配金を安定的に受け取り続け、かつ毎年キャッシュフローの成長を期待するのであれば、配当貴族銘柄は個別であっても保有するだけの価値があると考え、筆者の場合は保有をしています。
しかし、個別銘柄に投資をすることは財務状況が健全な配当貴族銘柄であっても、ETFと比較して1企業の運命に左右されることになりますので、今回の記事ではETFで個別企業のリスクを分散しつつ配当貴族銘柄のようにリーマンショックのような危機をまたいでも長期で増配し続ける選択肢はないか調べてみました。
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【VYM、VIG、SDY】分配金実績
今回比較をしたETFはVYM、VIG、SDYです。
バンガード 米国高配当株式ETF(VYM)
バンガード・米国高配当株式ETF(Vanguard High Dividend Yield ETF)は、FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックスのパフォーマンスへの連動を目指す。FTSEハイディビデンド・イールド・インデックスは、FTSEグローバル・エクイティ・インデックス・シリーズ(GEIS)の米国コンポーネントの派生インデックスであり、高い配当利回りの銘柄で構成されている。
SBI証券
バンガード 米国増配株式ETF(VIG)
バンガード・米国増配株式ETF(VIG Vanguard Dividend Appreciation ETF)は、NASDAQ USディビデンド・アチーバーズ・セレクト・インデックスのパフォーマンスへの連動を目指す。NASDAQ USディビデンド・アチーバーズ・セレクト・インデックスは、NASDAQ USブロード・ディビデンド・アチーバーズ・インデックスの派生インデックスであり、10年以上連続して増配の実績を持つ米国普通株で構成されている。
SBI証券
SPDR S&P 米国高配当株式 ETF(SDY)
SPDR S&P 米国高配当株式 ETF(SPDR S&P Dividend ETF)はS&P High Yield Dividend Aristocrats Index(同指数)の利回りと特性と密接に一致することを追求する。同指数はS&P Composite 1500 Indexのうちの配当利回りが最も高い60の構成銘柄により構成される。同指数における構成銘柄は25年連続で毎年配当金を増加するという管理された配当政策に従っている。同ファンドは通常総資産の80%以上を同指数の構成銘柄に投資する。また、同ファンドは同指数に含まれていない持分有価証券、現金と現金同等物、または買戻契約と金融市場ファンド(同ファンドの投資顧問に勧められた金融市場ファンドを含む)などの短期金融商品に投資する。同社の投資顧問はSSgA Funds Management, Inc.である。
SBI証券
分配金の推移を確認した結果が以下になります。

結果より以下の2点に注目をしました。
- 分配金の成長においてVIGはVYMよりもリーマンショックの影響が抑えられている
- SDYはVYMやVIGと比較して分配金が右肩上がりというわけではない
【VYM、VIG、SDY】分配金移動平均
前回以下の記事でも同じような示し方をしましたが、移動平均の結果も見てみたいと思います。

分配金の額をグラフにすると既に示したようにギザギザのグラフになリますので局所的な分配額の変動を除外し、それぞれのETFの分配額の成長を大局的に把握するために、移動平均を出してみました。
以下は一回あたりの分配金の移動平均結果で1年間(年4回の分配ならば4回分)をずらしながら平均をとってます。

- 分配金の成長においてVIGはVYMよりもリーマンショックの影響が抑えられている
- SDYはVYMやVIGと比較して分配金が右肩上がりというわけではない
という2点に特徴がより分かりやすく傾向として出ています。
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【VYM、VIG、SDY】値動き
最後に3つのETFの値動き(分配金ではなく株価の値動き)を比較してみたいと思います。
以下は、VYM(青)、SDY(グレー)、VIG(オレンジ)の値動きを比較しています。
VIGが大きく値上がりをしており、VYMとSDYが同じような値動きとなっています。
以下に3つのETFの分配利回りと経費率をまとめてみました。
VYM | VIG | SDY | |
---|---|---|---|
分配利回り (2021/3/23時点) | 2.34 % | 1.59% | 2.71% |
経費率 | 0.06% | 0.06 % | 0.35 % |
VIGは配当利回りが低い分、より値上がりが期待できるETFとなります。
VYMとSDYの配当利回りは現時点で大きな違いはありませんが、SDYはVYMと比較して分配金が長期できれいな右肩上がりにないことと経費率が高めなため、VYMやVIGと比較して見劣りする印象です。
それにしても25年以上連続して増配方針に従っている企業が組み込まれているはずのSDYがなぜ分配金が右肩上がりではないのでしょうか?
今回、この疑問を解消するには至りませんでしたので何か分かりましたらブログを更新したいと思います。
今回の内容が参考になれば幸いです。
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