2020年10月13日の日本経済新聞によると、毎月の返済負担を軽くする新たな住宅ローンとして残価設定型ローンを国交省が業界団体などから提案を募り、普及につなげようとしているようです。
2021年度にも民間の金融機関が参加するモデル事業を始めるようです。
残価設定型ローンは自動車では一般的な仕組みです。
以前、以下の記事で3つのPointを解説しました。

自動車の残価設定型ローンの3つのPointを住宅ローンに当てはめると以下のような仕組みになることが想定されます。
- 住宅の◯年後の買取価格(残価)が金融機関より設定される
- 販売総額から◯年後の買取価格(残価)を除いた金額を購入者が支払う(分割 or 一括)
- ◯年後が来たら、「住宅を残価で売却(家を手放し・残価も返済不要)」 or 「住宅をお買い上げ(残価を一括購入 or 残価を返済するため再度ローンを組む)」
◯年の設定は自動車の残価設定型ローンの場合は、購入者が決められた範囲で設定できますが、おそらく住宅の場合もある程度自由に設定できることが想定されます。
日本の住宅の場合、基本的に年数が経てば資産価値は減少しますので、◯年後の年数が少なければ高い残価になり、◯年までに支払わなければならない額(借入額と将来の住宅価値の差額)は少なくなりますし、◯年後の年数が大きければ少ない残価になり、◯年までに支払わなければならない額(借入額と将来の住宅価値の差額)は大きくなります。
見落とされやすい想定メリット・デメリットを以下に記載します。
<メリット>
◯年後の買取価格(資産価値)が基本的に保証されている
<デメリット>
著しく資産価値を減らすような、損傷や改築等を行った場合は、設定した残価で買い取ってもらえない可能性がある
そういう意味では、借入額と将来の住宅価値の差額を返済している段階では、マイホーム感覚では住めないかもしれません。
将来の住宅価値を金融機関がどのように評価するのか、住宅を残価で買い取ってもらえる条件については、今後明らかになっていくものと思われます。
遠い将来になればなるほど、資産価値は見通せないのではないかと思いますので、◯年の設定も将来の資産価値が見通せる短い範囲で設定される可能性があります。
通常の住宅ローンの様に35年など長期で設定できるのかどうか今後明らかになってゆくものと思われます。
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<デメリット>
全ての物件が対象となるかどうか分からない
筆者の予想では、ある程度リセールバリューが見込める物件に限定されるのではないかと考えています。
御存知の通り、日本は少子高齢化で人口も減少していきます。
過疎化が進んだ地方や、駅から遠い物件では買い手を探すのも苦労することが想定されますので、◯年後の資産価値を決めるというのは企業も大きなリスクを負うことになるのではないかと想像します。
そのため、買い手がつきそうにない土地の物件は残価設定型ローンの対象外とするか、残価が低く設定されることが想定されます。
◯年後の◯年は購入者が決められますが、◯年後の残価(資産価値)は金融機関側が設定するものですので、金融機関が損をするような仕組みは作らないと思われます。
<デメリット>
金利は残価にもかかってくる
自動車の残価設定型ローンではよく誤解されますが、返済は借入額と将来の住宅価値の差額で良かったとしても金利の支払いは借入額と将来の住宅価値の差額分に対してだけではなく、残価も含めた借入額に対してかかってきます。
住宅ローンの場合も同様になることが想定されますので注意が必要です。
<メリット>高齢者には良い?
老後や定年前の高齢者にとっては長期間ローンを組んで、何十年も払い続けなくてはならない状況よりは、約束した価格で◯年後に買い取ってもらい、手放せるタイミングがある方が安心かもしれません。
いかがでしたでしょうか。
今回取り上げたメリット・デメリット以外にも◯年後まで住み続けられるかどうか分からないケースも挙げられます。
◯年後の買取価格はある程度保証されていますが、◯年後が来るまでに引っ越しをしなければならなくなった時どういう対応になるのか、まだまだわからないことが多いです。
今回の内容が参考になれば幸いです。
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