【JNJ】業績とキャシュフローマトリクス

ジョンソン & ジョンソン(JNJ)について

ジョンソン & ジョンソン(以下、JNJ)は医薬品、医療機器を扱う総合ヘルスケア企業です。

日本人にとっては絆創膏のバンドエイドや、スキンケア商品のジョンソンボディケア、オーラルケア商品のリステリンなど、一般消費者向けのヘルスケア関連商品に馴染みがありますが、事業セグメントで大きな割合を占めるのは医療用医薬品事業になります。

Johnson & Johnson 2021 Annual Report

免疫領域に強みがあり、「ステラーラ」は乾癬、乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎、クローン病など、「レミケード」は既に後発品が出ていますが関節リウマチ、乾癬、乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎、クローン病など一つの製品が複数の疾患で使える大型新薬を持っているのも強みです。

医療機器はスイッチングコストが高いため、一度導入されると安定した収益を生み出してくれます。

地域別の売上を見ると、米国が半分を占めていますが、欧州も2割以上占めています。

今後、アジアやアフリカなどの地域の経済規模が大きくなれば、さらなる成長が期待できそうです。

Johnson & Johnson 2021 Annual Report

業績

貸借対照表(B/S)

以下は、JNJのバランスシートです。

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2021年 Annual Reportより作成

流動資産が流動負債を上回っているので短期負債の資金ぶりが問題になることはなさそうです。

JNJは株主から集めたお金を使ってしっかりと利益が挙げられており、純資産に厚みがあります。

自己株式$39,099M
利益剰余金$123,060M
純資産合計$74,023M

損益計算書(P/L)

以下は、JNJの損益計算書です。

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2021年 Annual Reportより作成

売上高に占める原価率は32%、販管費は26%、研究開発費は16%となっており、営業利益率は26%と高い収益性を誇っています。

製薬企業は原価率が低く、研究開発比率が高く、営業利益率が高いという特徴があります。

これらについては以下の記事で解説していますので参考にしてください。

株主還元に積極的な製薬企業でも積極的な事業投資が必要 製造業の中でも医療用医薬品事業は営業利益率が高いビジネスモデル 製造業の中でも医療用医薬品事業は原価率が低いビジネスモデル

売上高・営業利益・営業利益率・純利益の推移

売上高は右肩上がりで営業利益率も毎年25%以上となっており、収益性が高い企業であることが分かります。

2017年は純利益が大幅に減っていますが、税制改革に伴い一時的な費用を136億ドル計上したため、利益を打ち消しました。

この税制改革で企業が海外に留保した利益に最大15.5%の税金が課されることになったのですが、海外売上比率が高いJNJはその影響を受けました。

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株主還元

以下は、JNJのフリーキャッシュフローの推移を折れ線グラフで示しており、配当と自社株買いを積上げ縦棒グラフで示しています。

毎年連続増配するためにはキャッシュが必要になりますので、フリーキャッシュフローと配当金の推移をまとめています。

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Annual Report(CONSOLIDATED STATEMENTS OF CASH FLOWSのDividends to shareholders, Repurchase of common stock), Yahoo Finance(FCF)より作成

自社株買いと配当による株主還元を積極的に行っていますが、ここ数年は自社株買いが減少傾向です。

JNJは50年以上連続増配を更新中の配当王かつ配当貴族銘柄でもあります。

配当王・配当貴族銘柄については以下の記事を参考にしてください。

配当王・配当貴族が連続増配を実現している配当利回り【2022年9月】

連続増配株ですので配当による株主還元を重視しつつ、業績に応じて自社株買いをするものと思われます。

連続増配実績だけではなく、プロが選んだ買って持っておくだけの優良長期保有米国株については無料インカムレポートも参考にしてください。

ROA(総資産利益率)とROE(自己資本利益率)

以下は、ROAとROEでJNJの収益性を折れ線グラフで示しています。

2017年に大幅に減っているのは、前述の通り、税制改革に伴う一時的な費用を計上したためです。

Morningstar(ValuationのKey Statistics)より作成

  • ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本
  • ROA(%) = 当期純利益 ÷ 総資産

自社株買いを積極的に行っている企業の場合、純資産が減り自己資本比率が低下するのでROEが高くなります。

また、配当による株主還元を積極的に行っている企業は現金(内部留保)を減らすことになり、財務レバレッジが向上するので、ROEが高くなります。

財務レバレッジ=総資産/自己資本ですので、ROA(%) = 当期純利益/総資産に財務レバレッジをかけ合わせると、当期純利益/総資産 × 総資産/自己資本= 当期純利益/自己資本 = ROEとなります。

つまりROEはROA × 財務レバレッジということになります。

尚、米国企業はROEは12%、ROAは6%程度と言われています。

ROAを見ると直近で12%程度となっています。

JNJの収益性は高いと言えます。

ROIC(投下資本利益率)とCFROI(投下資本キャッシュフロー率)

貸借対照表の有利子負債と株主資本を合わせた投下資本に注目をしてみました。

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投下資本はTotal shareholders’ equity +Loans and notes payable+Long-term debtで算出

  • ROIC(%)= 税引後営業利益 ÷ 投下資本(有利子負債 + 株主資本)
  • CFROI(%) = 営業CF ÷ 投下資本(有利子負債 + 株主資本)

ROICは投下資本からどれだけ税引後営業利益を生み出したか、CFROIは投下資本からどれだけ営業キャッシュフローを生み出したかを見ています。

この2つは株主と債権者から調達した資金でどれだけ効率よく営業利益やキャッシュフローを生み出しているかを測るので似たような指標です。

しかしROICの方は、営業利益から法人税を差し引く税引後営業利益(NOPAT)を使うことで、より債権者と株主に帰属する利益をどれだけ効率よく生み出しているかを見ることができます。

債権者に対して支払う負債コストは主に金利です。

株主資本コストは、配当やキャピタルゲインの期待要求利回りです。

政策金利が上がると有利子負債のコストが高くなります。

債権の金利が高くなると、株式の投資妙味を確保するために株主が企業に対して求める投資リターンの水準も高くなります。

この負債コストと株主資本コストを加重平均した資金調達コストがWACCで、企業はWACC以上の利回り、すなわちROICを目指す必要があります。

ROIC(投下資本利益率)とCFROI(投下資本キャッシュフロー率)の結果です。

ROICはMorningstar(ValuationのKey Statistics)より作成

米国企業のROICは10%程度が平均で、日本企業は6%程度になりますので、投資効率はかなり高く、また上昇傾向であることがわかります。

2017年にROICが減っているのは、前述の税制改革に伴い、$16,373Mの法人税を計上し、税引後営業利益(NOPAT)が減少したためです。

尚、ROICは株主と債権者両方の視点が入っていますが、先程のROEは当期純利益を純資産(自己資本)で割ったもので、株主視点の指標であると言えます。

一方、ROAは当期純利益を総資産で割ったものですので、全社的視点の指標であると言えます。

EPS・DPS・配当性向

毎年連続増配をしていますが、ここ3年の配当性向は60%を超えてきています。

2018年に配当性向が大幅に上昇しているのは、前述の通り、税制改革に伴い一時的な費用を計上し、利益を減らしたためです。

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MorningstarのDividendsより作成

前年比%20112012201320142015201620172018201920202021
EPS-27.0%10.6%24.6%18.5%-3.9%8.2%-92.1%1093.6%0.4%-2.1%41.7%
DPS6.6%6.7%7.9%6.6%6.9%6.8%5.4%6.6%5.9%6.1%5.3%

キャッシュフロー(CF)マトリクス

JNJのCFマトリクスを紹介します。

今回Morningstarでまとめられているキャッシュフロー計算書を元に2015年~2021年の7年間の営業CFと投資CFデータからCFマトリクスを作成しました。

CFの推移をCFマトリクスで確認することで企業の成熟段階を分析することができます。

以下がその結果です。

CFマトリクスの見方

  • 投資期→安定期→停滞期→低迷期→後退期→破綻期と円を描くような矢印が示されていますが、これは企業の一般的なライフサイクルを示しています。
  • 横軸に営業CF、縦軸に投資CFをとっています。
  • 営業CFがマイナスの場合、ビジネスをすることで損失を出している状態で、プラスの場合はビジネスでキャッシュを得ている状態を指します。
  • 投資CFがマイナスの場合、事業投資をしている状態で、プラスの場合は資産を売却してキャッシュを得ている状態を指します。
  • 点線が営業CF=投資CFのラインになります。
  • CFマトリクス上で点線よりも上に位置している場合、企業のキャッシュは増えていることを示します。

安定期の場合
事業投資も行っているが、ビジネスで儲けた金額の方が大きいことによってキャッシュが増えています。

停滞期の場合
ビジネスでの儲けに加え、資産を売却することでキャッシュが増えています。

低迷期の場合
ビジネスの儲けは損失が出ている状態です。しかし、資産の売却額が本業の損失額よりも大きいため、キャッシュは増えている状態です。

JNJの場合、分析期間の7年は事業投資額よりもビジネスでの儲け額が大きく、安定期にあることが分かります。

安定期と言っても研究開発に積極的な投資を行っていることを以下の記事で解説しています。

分社化でジョンソンエンドジョンソンは今後、医療用事業に注力

コロナ下においても収益性を維持し、積極的な研究開発投資を行い、増配も行っています。

長期保有をする上でも安心感があるではないかと思います。

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