目次
配当貴族(Dividend Aristocrats)とは?
今回は米国連続増配株の組入比率が大きなETFを調べるために、配当貴族銘柄を多く含んだETFを確認しました。
S&P 500配当貴族指数はS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの株価指数で以下がその定義です。
- S&P500組入銘柄
- 25年以上連続増配
- 一定以上の企業規模であること(最低浮動株調整後時価総額が30億ドル以上)
- 流動性が高いこと(3ヶ月間の1 日当たり平均売買代金が 500万ドル以上)
配当貴族銘柄一覧については以下の記事でまとめています。

配当貴族銘柄に投資をする米国ETFは?
配当貴族銘柄を多く含むETFを検証しました。
S&P500配当貴族ETFとしてS&P 500 DIVIDEND ARISTOCRATS ETF(以下、NOBL)というETFがありますが、国内の証券会社では投資をすることができません。
尚、国内ETFと投資信託では円建てで配当貴族指数に投資できる商品があります。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。

今回は、このNOBLと配当貴族銘柄が含まれていそうなメジャーなETF( SPY /VIG/SDY /VYM/HDV/SPYD/VIG/SDY )との重複を調べることで、配当貴族銘柄に投資をするにはどのETFを選択すべきかを明らかにします。
ETFの重複について今回は以下の2つの視点で検証しました。
①組入銘柄数として何%重複しているか
例)
100銘柄で構成されているETFのうち40銘柄が比較対象ETFの投資対象と重複している場合、40%が投資対象と重複しているものとして集計
②構成比率として何%重複しているか
例)
100銘柄で構成されているETFの60%の構成比率を占めている40銘柄が比較対象ETFの投資対象と重複している場合、60%が比較対象ETFと重複しているものとして集計
ETF Research CenterのFund OverlapでもOverlap割合を出すことができますが、当ブログでは上記の定義で重複銘柄割合を算出しています。
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SPY /VIG/SDY /VYM/HDV/SPYDの配当貴族銘柄比率
今回以下の6つのETFと S&P500配当貴族ETF(NOBL)との重複を調べました。
SPDR S&P 500 ETF トラスト(SPY)
SPDR S&P 500 ETF(SPDR S&P 500 ETF Trust)は上場投資信託である。同信託はS&P500種指数(同指数)の価格・利回りのパフォーマンスに連動する。同指数は24の独立系産業グループにわたり選択された500銘柄により構成される。同信託の投資分野には、情報技術、金融、エネルギー、医療、消費者必需品、工業、一般消費財、材料、公益事業及び電気通信サービスが含まれる。
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バンガード 米国増配株式ETF(VIG)
バンガード・米国増配株式ETF(VIG Vanguard Dividend Appreciation ETF)は、NASDAQ USディビデンド・アチーバーズ・セレクト・インデックスのパフォーマンスへの連動を目指す。NASDAQ USディビデンド・アチーバーズ・セレクト・インデックスは、NASDAQ USブロード・ディビデンド・アチーバーズ・インデックスの派生インデックスであり、10年以上連続して増配の実績を持つ米国普通株で構成されている。
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SPDR S&P 米国高配当株式 ETF(SDY)
SPDR S&P 米国高配当株式 ETF(SPDR S&P Dividend ETF)はS&P High Yield Dividend Aristocrats Index(同指数)の利回りと特性と密接に一致することを追求する。同指数はS&P Composite 1500 Indexのうちの配当利回りが最も高い60の構成銘柄により構成される。同指数における構成銘柄は25年連続で毎年配当金を増加するという管理された配当政策に従っている。同ファンドは通常総資産の80%以上を同指数の構成銘柄に投資する。また、同ファンドは同指数に含まれていない持分有価証券、現金と現金同等物、または買戻契約と金融市場ファンド(同ファンドの投資顧問に勧められた金融市場ファンドを含む)などの短期金融商品に投資する。同社の投資顧問はSSgA Funds Management, Inc.である。
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バンガード 米国高配当株式ETF(VYM)
バンガード・米国高配当株式ETF(Vanguard High Dividend Yield ETF)は、FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックスのパフォーマンスへの連動を目指す。FTSEハイディビデンド・イールド・インデックスは、FTSEグローバル・エクイティ・インデックス・シリーズ(GEIS)の米国コンポーネントの派生インデックスであり、高い配当利回りの銘柄で構成されている。
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iシェアーズ コア 米国高配当株 ETF(HDV)
iシェアーズ 米国高配当株 ETF(iShares High Dividend ETF)は、通常モーニングスター配当フォーカス指数(同指数)の価格と利回りパフォーマンスに連動した投資成果を目指す。同指数は、財務健全性が高く、同時に持続的に平均以上の配当を支払うことのできる、質の高い米国企業への投資機会を提供する。同指数は75銘柄で構成されており、投資家に配当を支払うことのできる資金余力(配当力)によってウェイト付けを行う。
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SPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF(SPYD)
SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF(SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF)は、S&P500高配当指数(同指数)のトータルリターン(経費控除前)のパフォーマンスに概ね連動する投資成果を上げることを目標とする。同指数は、配当利回りに基づき、S&P500指数の採用銘柄のうち配当支払い上位80銘柄のパフォーマンスを計測することを目標とする指数である。
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ここからは結果を紹介します。
①組入銘柄数として何%重複しているか
②構成比率として何%重複しているか
SPYやSDYに投資をすれば、 NOBLすなわち配当貴族銘柄にほぼ全て投資をしていることになることが分かります。
配当貴族銘柄はS&P500組入銘柄であることが前提SPY条件ですので、その全てがSPYにも含まれていて当然であると言えます。
S&P500インデクスに投資をすればGAFAMにも投資ができますし、配当貴族銘柄にも漏れなく投資をすることができますので、改めて素晴らしいインデックスだと思います。
同じくS&P500組入銘柄であることが前提条件の高配当ETFであるSPYDはNOBLとの重複銘柄が2割以下ですので、8割以上が25年未満の増配年数の高配当株で構成されていることが分かります。
重複銘柄数と重複銘柄数の構成比率の観点から、S&P500配当貴族指数に一番近いETFはSDYになります。
配当貴族指数とSPY /VIG/SDY /VYM/HDV/SPYDのチャートを比較
では値動きはどうなっているでしょうか。
チャートの色の違いは以下のようになっています。

以下はNOBLの設定来の値動きの違いを示しています。

重複銘柄数と重複銘柄数の構成比率の観点から、S&P500配当貴族指数に一番近いETFはSDYでしたが、値動きが一番近いのはVIGという結果でした。
S&P配当貴族指数は構成銘柄に均等配分
S&P500配当貴族ETFのNOBLとSDYの値動きが大きく異る理由についてさらに深堀りしていきます。
以下は、NOBLとSDYの重複銘柄がそれぞれのETFにどれくらいのウェイトを占めているのかを示しています。
以下の表はスクロールすることができます。
NOBLに注目をすると各銘柄が同じような比率になっていることが分かります。
配当貴族指数では基本的に抽出された銘柄に均等配分する構成になっています。
しかし、抽出された銘柄の株価も日々変動しますので微妙なウェイトの違いは株価変動の違いを表しています。
配当貴族指数では株価の変動に対しては年4回構成比率の見直しが行われます。
また、指数構成銘柄については前年の配当実績をもとに毎年1月に見直されるようです。
一方でSDYの構成比率は予想配当利回りに基づいて決定されています。
S&P高配当貴族指数とS&P配当貴族指数は異なるもの
ちなみに、 SDYはS&P高配当貴族指数に連動するETFで、 S&P500配当貴族指数と名前が似ていますが異なる指数になりますのでご注意ください。
S&P高配当貴族指数は、S&Pコンポジット1500指数の構成銘柄のうち、20年以上連続して増配方針に従っている企業のパフォーマンスを測定するよう設計されている。
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
SDYは確かに配当貴族銘柄が多く含まれていますが、構成比率が高配当重視になっているので、値上がりは配当貴族指数程期待はできないという結論になります。
今回の検証結果では、VIGは配当貴族銘柄をSDY程は含んでいませんが、値動きは今回検証したSPY /VIG/SDY /VYM/HDV/SPYDの中では一番近いという結果でした。
ETFをチェックする際に、SPYのように時価総額加重平均型なのか、SPYDのように均等配分型なのか等、構成比率がどのようにして決められているのかも注目する必要があります。
これは、ETFの値動きに大きな影響を与えるからです。
今回の内容が参考になれば幸いです。
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