【VXUS vs VEU】Vanguard(バンガード)の米国を除く全世界株ETF

米国を除く市場への投資をどう考えるか(VXUS vs VWOなど)

ポートフォリオの国際分散を考える時に、全世界株1本に投資、先進国と新興国を分けて投資、日本を除く全世界株と日本株を分けて投資など色々方法があります。

筆者のようにポートフォリオの大半を米国株が占めている場合、米国を除く地域にも投資をするためにVXUSやVEUをサテライトとして保有することも選択肢になります。

今回はVXUSとVEUについて紹介をします。

米国以外の投資先として米国に成長性が劣る他の先進国を排除して新興国ETFのVWOを選択するのか、米国だけを除くVXUSなどのETFを選択するのかは投資家によって好みが分かれるかもしれません。

この記事では、同じ米国を除く全世界株ETFのVXUSとVEUとの違いについても触れます。

また、VTIやVWOとの値動きの違いにも触れます。

VXUS vs VEUファンド概要

バンガードトータルインターナショナルストック<除く米国>ETF(Vanguard Total International Stock ETF)は、FTSE Global All Cap ex US Indexのパフォーマンスに連動するように設計された米国籍のETFです。

米国を除く先進国および新興国の株式市場の98%をカバーしています。

このインデックスには、50か国にある5,300を超える企業の株式が含まれています。

似たファンドでバンガードFTSEオールワールド<除く米国>ETF(VEU)がありますが、これも米国を除く世界の先進国および新興国株式市場に投資をしますが、カバー率がVXUSと比較すると少し絞られており、米国を除く50ヵ国の約2,200銘柄で構成されています。

しかし経費率は0.07%で同じですし、過去のパフォーマンスもほぼ同じ結果です。

TickerVEUVXUS
名称 VG FTSEオールワールド(除く米国) ETFVG トータル Intl ストック(除く米国) ETF
基準価額
(米ドル)
54.17
(2023/12/06)
55.80
(2023/12/06)
投資対象※米国を除く全世界の先進国株式市場および新興国株式市場
大型株、中型株
時価総額の95%以上をカバー
米国を除く全世界の先進国株式市場および新興国株式市場
大型株から小型株
純資産総額
(百万米ドル)
35,531.49
(2023/11/30)
60,060.59
(2023/11/30)
設定日2007/03/022011/01/26
分配利回り3.03 %2.98 %
経費率0.08 %0.07 %
構成銘柄数3804
(2023/10/31)
8556
(2023/10/31)

VXUS vs VEUどちらがおすすめか

後述する値動きもほぼ同じですし、経費率も変わらないため、どちらを選んでも良いというのがこの記事の結論になります。

しかし、以下に特筆する違いはありますので、皆さんが重視する項目を基準に好みで選ぶと良いでしょう。

VEUは大型株と中型株、VXUSは小型株まで含むという違いがあり、VXUSの方がVEUよりも高いカバー率になります。

VEUの方が歴史は長いですが、純資産総額はVXUSに軍配が上がります。

構成銘柄重複

今回は以下の2つの視点で検証しました。

①組入銘柄数として何%重複しているか

例)
100銘柄で構成されているETFのうち40銘柄が比較対象ETFの投資対象と重複している場合、40%が投資対象と重複しているものとして集計

②構成比率として何%重複しているか

例)
100銘柄で構成されているETFの60%の構成比率を占めている40銘柄が比較対象ETFの投資対象と重複している場合、60%が比較対象ETFと重複しているものとして集計

ETF Research CenterのFund OverlapでもOverlap割合を出すことができますが、当ブログでは上記の定義で重複銘柄割合を算出しています。

①銘柄数として何%重複しているか

結果の見方は次のようになります。

例えばVEUとの重複銘柄数がVXUSの構成銘柄数に占める割合を求めると41%になります。

VXUSの構成銘柄数の41%がVEUの組入銘柄ということになります。

②構成比率として何%重複しているか

結果の見方は次のようになります。

例えばVEUとVXUSの重複銘柄がVXUSの構成比率に占める割合を求めると63%になります。

VEU vs VXUS

VXUSの銘柄数のうち約4割がVEUと重複しているので、VXUSの銘柄数の6割近くは小型株であることが分かります。(VEUは 大型株および中型株を投資対象としていますので)

一方、VEU との重複銘柄はVXUS の約6割の構成比率を占めているので、 小型株はVXUSの構成比率の4割近くの構成比率であることがわかります。(VEUは 大型株および中型株を投資対象としていますので)

VXUS vs VEU vs VT

VTの構成銘柄数のうち3割が米国を除く全世界株のVEU、7割が米国を除く全世界株のVXUSを構成している銘柄でした。

一方、VTの構成比率に占める割合を見るとVEUとVXUSそれぞれで2割近くとなっており、銘柄数の割に構成比率が低いことが分かります。

VT vs VXUS vs VTI

VTの組入名柄の数で見た時に、VTIはVXUSと比べて少ないですが、構成比率で見た時に組入銘柄の数ではVXUSに劣るVTIがVXUSを凌駕していることが分かります。

一方で、世界の時価総額に占める現在の米国の割合を考えるともう少し占める結果を予想していましたが、結果は予想に反していました。

また、VTI+VXUS=VTというのを筆者はイメージしていましたが、結果は予想に反してきれいなVTI+VXUS=VTになリませんでした。

VXUS vs VEU vs VWO

VXUSとVWOとの重複についても触れておくと、組入銘柄数で見ると、VXUSの組入銘柄数に占めるVWO構成銘柄の割合は約4割となりますが、VXUSの構成比率に占める割合は約1割に留まっています。

現状、VXUSで銘柄数の割に大きな構成比率を占めているのは、日本や欧州などの先進国ですが、今後も中国やインドなどの新興国が世界経済での存在感が増してくることが想像されますので、構成比率がどの様になってくるのか注視する必要があります。

組入銘柄数で見ると、VXUSとVEUの組入銘柄数に占めるVWO構成銘柄の割合はそれぞれ40%、52%となりますが、構成比率に占めるVWO構成銘柄の割合はそれぞれ12%、13%に留まっています。

地域別比率

現状ヨーロッパ、パシフィック、新興国で3等分するような比率になっています。

今後、中国やインド、インドネシアなど、人口が多く成長著しい国の時価総額も大きくなってくることが想定され、米国を除く世界の株式市場において新興国株式市場の存在感がますます大きくなり、値動きもより新興国株式市場に引っ張られるようになってくるのではないかと予想しています。

VXUSやVEUに投資をすれば、米国以外の世界の株式市場の成長サイクルも取りこぼすことがありません。

VEUVXUS
新興国25.50%25.80%
ヨーロッパ40.70%39.80%
パシフィック27.20%27.00%
中東0.40%0.40%
北米6.10%7.00%
その他0.10%0.00%

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国別比率

現状我が国、日本が一番比率としては大きくなっています。

組入国の構成比率にもほぼ違いはありません。

VXUS、VEU共に2022年4月にVanguardの公式ホームページに公開された組入国の情報から、ロシアが投資対象外になっていることを確認しています。

VEU、VXUS何れもVanguard UKのホームページでは以下のような記載が確認できます。

Remain fully invested and hold small amounts of cash except in extraordinary market, political or similar conditions where the Fund may temporarily depart from this investment policy.

政治的もしくは政治的と同等の異常な市場環境では投資方針から逸脱する可能性があることが記載されています。

VEUVXUS
日本16.3%16.1%
イギリス9.9%9.8%
中国8.3%7.9%
フランス7.1%6.8%
カナダ6.1%7.0%
スイス6.0%5.7%
ドイツ5.1%4.9%
インド5.0%5.2%
オーストラリア4.9%4.9%
台湾4.3%4.7%
オランダ3.7%2.5%
韓国3.3%3.4%
デンマーク2.0%2.0%
スウェーデン1.9%2.0%
南アフリカ1.9%0.9%
イタリア1.8%1.8%
香港1.6%1.5%
ブラジル1.6%1.6%
スペイン1.6%1.6%
サウジアラビア1.2%1.1%
シンガポール0.9%0.9%
メキシコ0.8%0.7%
フィンランド0.7%0.7%
ベルギー0.6%0.7%
インドネシア0.6%0.6%
タイ0.6%0.7%
マレーシア0.5%0.5%
ノルウェー0.5%0.6%
アラブ首長国連邦0.5%0.5%
イスラエル0.4%0.4%
トルコ0.3%0.3%
カタール0.3%0.2%
クウェート0.2%0.2%
チリ0.2%0.2%
アイルランド0.2%0.2%
ニュージーランド0.2%0.2%
フィリピン0.2%0.2%
ポーランド0.2%0.3%
オーストリア0.1%0.2%
ギリシャ0.1%0.1%
ハンガリー0.1%0.1%
その他0.1%#N/A
ポルトガル0.1%0.1%

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組入上位銘柄

以下はTop10銘柄です。

組入上位10銘柄にもほぼ違いはありませんが、大型株と中型株を投資対象とするVEUは、小型株までカバーするVXUSと比較して1銘柄あたりの構成比率が若干大きくなっています。

TOP10銘柄VEUVXUS
Novo Nordisk A/S Class B1.25%1.13%
Nestle SA1.20%1.08%
Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. Ltd.1.06%1.47%
Samsung Electronics Co. Ltd.0.99%0.88%
ASML Holding NV0.98%0.89%
Tencent Holdings Ltd.0.96%0.87%
Shell plc0.90%0.81%
Toyota Motor Corp.0.87%0.78%
Novartis AG0.80%0.73%
AstraZeneca plc0.77%0.69%

過去のパフォーマンス

過去のリターンを比較してみました。

紫色がVT、水色がVTI、黄色がVWO、オレンジがVXUS、青がVEUになります。

VEUの設定日(2007/3/2)を基準としています。

VEUとVXUSはほぼ同じ値動きであることが分かります。

VXUSの設定日は2011/1/26なのでVEUの方が歴史があり、VEUはリーマンショックを経験しています。

VEUについてリーマンショックはVWO程ではないですが、VTIと同じぐらいの暴落を経験しており、VEU設定来のリターンとしてはVTI(全米株式市場)> VT(全世界株式市場)> VWO(新興国株式市場)>VEU(米国を除く全世界株式市場) という結果になっています。

2010年代は米国株のリターンが良かった時代になります

VTの値動きは、新興国と比較して比率が大きな全米の株式に引っ張られており、2010年代の全世界株式のリターンは米国株式が牽引していたと言っても過言ではありません。

チャートを見るとVEUやVXUSはVWOと近い値動きであることが分かります。

残念ながら新興国が米国をアウトパフォームしていた2000年代はまだVXUSが設定されていませんでしたし、当時中国をはじめとする新興国の経済規模が現在ほどで大きな存在ではありませんでした。

現在世界第2位のGDPを誇る中国も2000年代はまだ現在の位置ではありませんでした。

そのため、将来新興国が米国をアウトパフォームするサイクルに入った際にどのような値動きになるのかは過去の値動きを参考にすることはできません。

VXUSの設定来、少し歴史が長いVEUとほぼ同じ値動きをしてきたのでVEUの2000年代後半の値動きは参考になるかもしれません。

また、VXUSが連動を目指しているFTSE Global All Cap ex US Indexについては2000年代前半からの値動きを遡ることができたので、以下の記事で紹介をしました。

興味のある方は見てください。

VXUSが連動を目指しているFTSE グローバル・オールキャップ(除く米国) インデックスの長期値動き

現在のパフォーマンスについては以下をご確認ください。

VTだけで世界分散をしても良いと思いますが、筆者のように米国株に資産が集中しがちな個人投資家はVXUSを保有することで、米国以外の資産もバランス良く持つことができます。

良心的な経費率ですし、VXUSについては純資産額が意外にも日本人には比較的馴染みがあり、筆者も保有しているバンガード米国高配当株式ETF(VYM)よりも大きな額です。

今回の内容が参考になれば幸いです。

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