世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? |山口 周 著

本を手に取ったきっかけ・目的

フェルミ漫画大学で紹介をされていて興味を持った本です。

書籍を購入する前に上記の動画で予習していただくと読みやすくなるかもしれません。

私も趣味で絵画をやっているのですが、グローバルビジネスエリートたちもアートを学ぶ人が多いみたいで、彼らはアートに何を求めているのか興味があり、手に取るに至りました。

最初の30ページぐらいまでの「忙しい読者のために」というパートを先に読むと、その後の章立てで詳細に記載されている内容をざっくりと掴むことができます。

この書籍がオススメの人
  • ビジネスマン
  • 美意識を鍛えたい人
  • 経営判断をする人
  • 他人と差をつけたい人

人生に取り入れたい文脈

本も読むだけではなくて、行動に移さなければ意味がありません。

ここからは個人的に、人生に取り入れようと感じた、文脈や文意をいくつか紹介していきます。

「より高品質の意思決定」をおこなうために「主観的な内部のモノサシ」を持つ

私が本書で知りたかったことの一つ、グローバルビジネスエリートがこぞってアートを学ぶ理由がこれになります。

「正解のコモディティ化」「差別化の消失」「全地球規模の自己実現欲求市場の誕生」「システムの変化にルールの整備が追いつかない社会」といった世界において、「より高品質の意思決定」をおこなうために「主観的な内部のモノサシ」を持つ必要があるということになります。

そのため世界のエリートが必死になって美意識を高めるための取り組みを行っているのです。

複雑な現代社会では論理的・理性的な情報処理スキルの限界が露呈しつつあります

私の身近な例では、MBAで学ぶ知識だけで言えば、今や高い学費を払って、大学院に通わなくても簡単に学べる時代になったように思います。

言い換えると、その希少性は失われつつあります。

今日、多くのビジネスパーソンが、論理的な思考力、理性的な判断力を高めるために努力していますが、そのような努力の行き着く先は「他の人と同じ答えが出せる」という終着駅になります。

つまり終着駅はレッドオーシャンでしかないということになります。

本書では「正解のコモディティ化」という表現をされていましたが、 他人と同じ正解を出すということでもあるわけですから、必然的に「差別化の消失」という問題を招くことになります。

多くのビジネスが機能の差別化から情緒の差別化へと競争の局面をシフトさせている中、個人のスキルも同様に価値がシフトしつつあります。

アカウンタビリティの格差

本書では経営における意思決定のクオリティは「アート」「サイエンス」「クラフト」の三つの要素のバランスと組み合わせ方によって大きく変わると記載されています。

そして「アート」「サイエンス」「クラフト」の主張を戦わせると、必ず「サイエンス」と「クラフト」が勝つので、多くの企業では「クラフト」と「サイエンス」に偏っているようです。

「アート」「サイエンス」「クラフト」の特徴をふまえ、主張にすると以下のようになります。

サイエンスの主張は、様々な情報を分析した結果、このような意思決定をしました。

クラフトの主張は、過去の失敗経験をふまえた結果、このような意思決定をしました。

アートの主張は、なんとなく、フワッと、これがいいかなと思って意思決定しました。

と言った感じになります。

私たち日本人に目を向けても、ビジネスにおける知的生産や意思決定において、「論理的」であり「理性的」であることを、「直感的」であり「感性的」であることよりも高く評価する傾向があります。

本書では、日本人の場合、権力者が作り出す空気に流されてなんとなく意思決定してしまう傾向が強いことへの反動で、虚勢としての一面があることも述べています。

ただ、経営における意思決定が徹頭徹尾、論理的かつ理性的に行われるべきなのであれば、それこそ経営コンセプトとビジネスケースを大量に記憶した人工知能にやらせればいいということになります。

「アート」「サイエンス」「クラフト」には「アカウンタビリティの格差」があり、これら主張を戦わせると、どうしても「サイエンス」と「クラフト」に軍配が上がり、これらに偏ってしまうのです。

アカウンタビリティとは再現性があるかどうか、言語化できるかどうかになります。

ただ、このアカウンタビリティという「責任のシステム」が、かえって意思決定者の責任放棄の方便になてしまっている部分もあると本書では述べられています。

「あのときは、そのように判断することが合理的だったのです。」という言い訳に用いられるイメージです。

私の職場でも間違いなくその傾向はありました。

ストーリーと世界観はコピーできない

アカウンタビリティは言語化できるかどうか、言語化できるということは、全てコピーできるということになります。

時代とともに、技術やデザインの差異から生まれる競争優位は、コピーという攻撃を受けた際にポジションを守ることが困難になっています。

一方、ストーリー性だけは、コピーされてもオリジナルの価値が揺るがない最後の価値であると述べられています。

例としてアップルという会社の持つ本質的な強みは、ブランドに付随するストーリーと世界観です。

これらは決してコピーすることはできず、アップルでないといけないのです。

まとめ

普段仕事をしていて、正解が無いこと、前例がないこと、制度が追いついていないことは結構多いなと感じます。

そのような場面では「主観的な内部のモノサシ」を持ち「より高品質の意思決定」を行えるようにする必要があると理解しました。

再現性の高い「サイエンス」や「クラフト」の要素は今後AIに代替されていく未来をイメージしました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA