「好き」を言語化する技術|三宅 香帆 著

本を手に取ったきっかけ・感想

本書は、書評家の著者が身につけた「推し語りのために必要な技術」を紹介したものです。

あなたがファンレター、ブログ、SNSの更新をする際、「推しについて語るネタをどうやって見つけたらいいかわからない!」「推しについて語りたいけど、語彙力がなくて、言葉が一様になって困る!」という悩みを持ったときに役立ててもらえることを目指して書かれた本です。

推しについて「自分の言葉で発信する」ことは推しへの解像度が上がる・たくさんの人に推しを知ってもらえる・推しについてのもやもやを言語化できるということは想像できるかもしれませんが、推しを好きになった自分への理解が深まる、他人の意見や見方の影響を受ける前に、自分なりのものの見方ができるという大きな意味があるように感じました。

今回は三宅 香帆さんの著書、「「好き」を言語化する技術」を紹介します。

この書籍がオススメの人
  • 推しなどについて、ファンレター、ブログ、SNSで発信する人
  • 好きを言語化するのに苦労している人

人生に取り入れたい文脈

本も読むだけではなくて、行動に移さなければ意味がありません。

個人的に共感した部分、覚えておこうと感じた部分、人生に取り入れてみたいと感じた部分を中心に取り上げています。

必ずしも書籍の内容の全体を俯瞰しているわけではありませんし、本記事は単なる要約ではありませんので、詳細は書籍を購入して確認してください。

クリシェに逃げない

「泣ける」「やばい」「考えさせられた」などありきたりな言葉や表現はフランス語でクリシェと言うようです。

クリシェは、あなたの言葉や表現を奪う敵です。

例えば、「考えさせられる」という言葉を使うだけで「かっこいい感想っぽくなる」のでつい使ってしまいがちです。

誰かに読んでもらいたい文章にしたい、誰かになにかを伝えたい場合、自分が考えたことを、そのまま言葉にする。

そして、その言葉を伝えるために、工夫された言葉にする。

このひと工夫の手間があって初めて、他人に伝わる文章になると本書では述べられています。

安易にクリシェ =ありきたりな表現に逃げてはいけません。

自分の感想の言語化前に他人の感想を見ない

SNSなどが普及している現代では、気をつけていないと、他人の感想が自然と目に入ってしまいます。

自分自身の「好き」を言語化しようと思ったのに、他人の言葉によって、自分の「好き」を見失ってしまうことが往々にしてあります。

クリシェもそうですが、他人の感想を自分の言語化の前に見てしまうと、あなたの言葉や表現の機会を奪う結果になりかねません。

場合によっては、自分がもともと考えていたかのように抱いてしまうことがあります。

この点は非常によくわかります。

他人の様々な意見が入ってきやすいこの世の中です。

中には個人的に共感してしまうような意見もあるでしょう。

その他にも、色々な他人の意見が入ってくるような環境下では、個人的に共感したある他人の意見が、元々の自分の意見のような感覚に陥ります。

さらに、他にも様々な他人の意見が入り込んでくる環境では、どこからが他人の意見で、どこまでが元々自分が持っていた意見なのかわからなくなります。

最たる例は、歴史上の独裁者は演説で人の心をとらえる強い言葉を使い、聴衆の心を引きつけました。

彼らの使う強い言葉は、「もともと自分もそういう考えだったのかもしれない」と思わせる力があります。

誰もが発信できるようになり、他人の言葉に影響されやすいこの世の中では、自分の「好き」はおろか、自分の感情や思考、もともと持っていた言葉を見失わないように意識しなければなりません。

著者は「他人の感想を見ないこと」特に、他人の感想を自分の言語化の前に見ないことをおすすめしています。

このことは誰かに思想を洗脳されないことにもつながるのです。

そして、人に頼らず、自分の言葉を見つけることは、自分の頭で考え続けることにもつながるのです。


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