ビジネスリーダーのための意思決定の教科書|川口 荘史 著

本を手に取ったきっかけ・感想

自分がこれまでお世話になったマネージャーを比較すると、意思決定に対する主体性に結構な違いがあることがわかりました。

一見、皆、同じように物事を決めて前に進めているようにも見えるのですが、その意思決定に本人の想いが乗っているケースと、更に上位の部長が言っているからと、実質、他人の判断が拠り所になっているケースなどの違いが見られます。

本書を通じて、意思決定者の主体性が重要であるということを感じました。

今回は川口 荘史さんの著書、「ビジネスリーダーのための意思決定の教科書」を紹介します。

この書籍がオススメの人
  • 新任マネジャーや経営層の方
  • 優柔不断で決断に時間がかかる方
  • チームの合意形成に悩むリーダー

人生に取り入れたい文脈

本も読むだけではなくて、行動に移さなければ意味がありません。

この記事では個人的に共感した部分、覚えておこうと感じた部分、人生に取り入れてみたいと感じた部分だけを断片的に取り上げています。

必ずしも書籍の内容の全体を俯瞰しているわけではありませんので、詳細は書籍を購入して確認してください。

意思決定はエネルギー負荷が大きい

意思決定とはエネルギー負荷が大きい行為であるということ前提として考えるべきであるということを学びました。

負荷が大きいですので、無意識に意思決定のエネルギーを使うことを避けてしまうことも起こり、これが意思決定の大敵であると本書では述べられています。

行動経済学では人間に「認知のクセ」があるとしており、情報処理をする際の2つの思考モード「システム1」と「システム2」があることが知られています。

行動経済学が最強の学問である|相良 奈美 著

ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンは、システム1は直感的で瞬間的な判断であることから「ファスト」、システム2は注意深く考えたり分析したりと時間をかける判断であることから「スロー」と呼びました。

全ての意思決定を合理的に下したいなら「システム2」だけを使えればいいのですが、全ての意思決定にシステム2を使っていたら、脳がパンクしますし、時間もかかります。

システム1は脳がエネルギーを節約するために必要不可欠な役割を果たしているのです。

良い習慣を身に着けたいときに、モチベーションに頼らずに実行する仕組みとして、ルーティン化が良いとされています。

たとえば毎朝、朝8時に起きて、まず顔を洗って、新聞を読んで、朝食を食べることをいちいち決めるのは大変な労力です。

重要でないことは自分からルーティン化していくことで、より重要なことに意思決定のエネルギーを使えます。

裏を返すと、ルーティン化は意思決定を無意識にスルーする仕組みですので、疲れているときなど、意思決定を避ける無意識的な行動に陥っていないかということを自分自身見つめ直す必要があると感じました。

本書では、「ここで意思決定をしなくてはならない」「自分はまさに意思決定の局面に立っている」ということを適切に自覚し、無意識に避けてしまうことを認識したうえで、意思決定に必要なエネルギーを適切に使うことを推奨しています。

外部や他者にゆだねない

自分の想いを脇に置き、他の要素に任せるという責任回避行動も、エネルギーを必要とし、負担が大きくかかる意思決定を本能的に回避した結果である可能性があります。

その中で、私の中では大企業などで存在する経営企画部門の存在意義について述べられていたことが印象的でした。

どのような文脈で述べられていたのかというと、情報収集や意思決定支援の機能を(おそらくコンサルなど)外部にゆだねる場合は慎重に判断することが求められると述べられています。

細かい粒度の情報を意思決定者自らがすべて目を通すのは難しい一方で、外部に任せすぎると意思決定者が必要な解像度を得られないケースが多いといいます。

経営企画部門の存在意義として社外よりも同じコンテキストで物事を見ることができていて、その一貫性も確保しやすいということから、こうした情報収集や意思決定支援の機能を社内に持つことがよいと述べられています。

意思決定をする立場の人にとっては、自分自身が少しでも解像度高く情報を取り入れ、主体的に意思決定ができる環境を作ることが重要なのだと感じました。

時には思い込みも必要

これは、自分の周囲のマネージャーに対して時折感じることではありますが、時には思い込みも必要であるということです。

もちろん意思決定には、客観性を確保し、フェアな視点で情報を見ていくことも大事ですが、これらの重要性を自覚したうえで、意思や想いを乗せて決定することが重要なのではないかと述べられています。

こうして自分の意思や想いが込められているストーリーが、結果として周りの共感を生んで行くのです。

「情報収集や意思決定支援の機能を外部に委ねない」「時には思い込みも必要」というのには共通して、意思決定者の主体性が重要であるという、本書の一貫した主張があるものと思われます。

マネージャーは自身の承認欲求を満たすことよりも、成果を出すことに注力

経営者や上位職になると、つい成果を独占したくなる傾向が出てきます。

承認欲求が強い人も多く、「自分が頑張った」ということを強調しがちです。

しかし組織の視点で見ると、経営者が承認欲求を前面に出すことにはあまり意味がありません。

メンバーは自分の貢献が認められ、「これは自分がやった」と実感できる時に、より高いモチベーションと主体性を持って働けるようになります。

むしろ、周囲のメンバーが評価され、モチベーションを高め、主体的に動ける環境を作ることの方が、結果的に組織としては大きな価値を生み出すことになるので、メンバーの承認欲求を満たすことのほうが重要であることがわかります。

マネジメントとしてはそれほど「自分がやった」という評価に固執せずとも、成果さえ出れば市場などからはマネジメントの評価になるので、むしろ評価は積極的に周囲に譲っていくほうがよいと述べられています。

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