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無形資産が経済を支配する
20世紀、企業はモノを大量生産し大量に売るビジネスモデルが主流でした。
また、機械や工場といった有形資産に設備投資をすることで更に成長していきました。
しかし近年は様変わりし、モノからコトへとビジネスモデルの転換が進み、知識やデータなどの無形資産が企業にとっての富の源泉になっています。
知的財産マーチャントバンクのOcean Tomoは、株式市場価値(S&P500)に占める無形資産価値の推移を発表しました。
2015年には株式市場価値に占める無形資産の価値が87%にまで増加していたことが示されました。
今回は企業の決算書などにも出てくる無形資産についてまとめておきます。
無形資産とは
建物や土地など形があって長期にわたり事業活動に使用されるものを有形固定資産と呼ぶのに対して、具体的な形態は持ちませんが営業活動のために長期的にプラスの効果をもたらす資産を無形固定資産といいます。
無形資産ではなく無形固定資産と表現していますが、本業の営業サイクルの中に入らない資産で、かつ長期にわたって使用または投資の回収を図る資産を固定資産といいます。
長期の基準ですが決算日の翌日から1年以内に現金化される予定のないことを長期といいます。
解説が前後しますが、この固定資産が有形固定資産、無形固定資産、さらに投資その他の資産の3つに分けられ、無形固定資産はその一つになります。
国際会計上の無形資産が日本の会計制度上の無形固定資産に該当するようです。
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無形資産の分類と例(のれんなど)
無形資産は以下のように分類されます。
①法律上の権利など
(例)
特許権:新規の発明を独占的に利用できる権利
商標権:文字や記号などの商標を独占的に利用できる権利
実用新案権:物品の形状、構造、組み合わせ等を具現化させた着想(アイディア)を独占的に利用できる権利
意匠権:物品の(視覚的な)デザインを独占的に利用できる権利
借地権:建物を建てるために地代を払って他人から土地を借りる権利
②その他(事実上の財産など)
(例)
ソフトウェア:コンピュターを動かすプログラム
のれん:
企業や事業を買収した場合、これらに係る資産・負債を時価で受け入れます。
買収の対価として支払った金額と受け入れた資産ー負債の時価との差額(発生益)をのれんといいます。
買収先の純資産の時価よりも買収価額が高くついた分、そこにはブランド力やノウハウ、優秀な人材を引き継げるなど、目に見えない価値が対価に含まれていると考え、のれんとして計上をします。
無形資産の償却
有形固定資産と償却に対する考え方が異なりますのでまとめておきます。
有形固定資産は価値が減っても物理的な実態は残っており管理し続けなければなりませんので、会計上は取得原価と減価償却累計額を把握する必要がありました。
一方で無形資産は具体的な形態を持たない資産ですので、償却すれば何も残りません。
償却すれば残存価額はゼロになります。
そのため、取得原価と減価償却累計額を別々に把握する必要がありません。
無形固定資産では減価償却累計額を把握しませんので、会計処理上は減価償却累計額勘定を用いて間接的に固定資産を減額する間接法を用いずに、無形固定資産の勘定を直接減額する直接法を採用します。
償却方法は月割計算している期を除き、毎期の償却費は同じ金額となる定額法で処理をします。
また、無形固定資産は減価償却と言わずに単に「償却」と表現します。
まとめると以下のようになります。
無形固定資産の償却 | 減価償却 | |
---|---|---|
残存価額 | ゼロ | 残存価額あり |
償却方法 | 定額法 | 定額法 定率法 生産高比例法 |
記帳方法 | 直接法 | 直接法 間接法 |
おわりに
いかがでしたでしょうか。
個人に落とし込んだときにも、最近では無形資産に相当しそうなものの価値が高まっているように感じます。
例えばInstagramやTwitterのフォロワーや、Youtubeのチャンネル登録者数、稼ぐためのスキルや知識、ノウハウ等にも物理的な形態はないですが人生に(場合によっては経済的にも)プラスに働き得るものだと思いますので、個人の無形資産だと筆者は捉えています。
当ブログでも、金融資産だけではなく個人の無形資産を高められるような情報を引き続き発信していきたいです。
今回紹介した無形資産の償却については簿記の2級でも扱われる内容になります。
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