グローバル・データセンターなどの成長分野に活路|NTT(日本電信電話)

NTT(9432)銘柄分析

NTTグループは、NTT(日本電信電話)の子会社967社及び関連会社141社(2024年3月31日現在)により構成されており、総合ICT事業、地域通信事業、グローバル・ソリューション事業を主な事業内容としています。

以下の営業収益が売上高に相当しますが、営業利益と見比べていただくと、総合ICT事業が屋台骨となっており、収益性も高いことがわかります。

データセンター事業はグローバル・ソリューション事業に分類されており、グローバルに拡大していく戦略です。

成熟企業ではありますが、事業領域をグローバルかつ成長分野に広げることで、成長の可能性が残されています。

IRプレゼンテーション 2024年5月

生成AIの発展により、データセンター需要は拡大することが見込まれていますので、需要の取り込みを目指します。

IRプレゼンテーション 2024年5月

電気を使った従来の情報処理技術は消費電力が大きいという課題がありました。

NTTはデータ処理と通信に光を使う光電融合技術を生かしたIOWN(アイオン)を開発中です。

IOWNでは通信の遅延時間を200分の1に縮め、将来的には消費電力を100分の1に減らせる見通しとなっており、電気信号に取って代わる通信技術になることが期待されます。

生成AI(人口知能)の普及などにより、データ流通量は爆発的に増加し、特にデータセンターなどでは電力消費量も急増することが懸念されています。

光通信技術は日本勢が技術的に優位とされており、次世代通信基盤として世界標準を狙います。

NTTはネット接続サービス「iモード」の世界展開に失敗した過去があり、「6G」時代に挽回することが期待されます。

株主構成

株式分割を行うことで、個人株主を増やし、株主の年齢層の多様化も目指しています。

株主構成は以下のようになっています。

政府は、常時、NTTの発行済株式の総数の三分の一以上に当たる株式を保有していなければならないという、日本電信電話株式会社等に関する法律(NTT法)があります。

このNTT法により制限により、政府・地方公共団体が大きな割合を占めているのが特殊な点です。

財務情報分析

ここからは財務情報分析を紹介します。

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株式構成比

株式構成比は以下のようになっています。

損益計算書(P/L)

以下は、NTTの損益計算書です。

利益の大きな押し下げ要素に見える、経費には作業委託費、端末仕入原価、物品費、代理店手数料などが含まれます。

物品費には、主に販売用物品、工事の施工に伴う材料の購入等に関するものが含まれます。

売上高・営業利益・営業利益率・純利益

売上高は緩やかな右肩上がりになっていることがわかります。

営業利益率も緩やかに上昇してきていますので、収益性も向上してきています。

直近2023年度は売上高・営業利益・当期利益は過去最高を更新しています。

有価証券報告書より作成

貸借対照表(B/S)

以下は、NTTのバランスシートです。

直近、自己資本比率は33.3%です。

成長分野である金融・データセンター事業の規模拡大によりバランスシートが大きくなっています。

株主還元

<配当方針>
継続的な増配

安定して連続増配しており、自社株買いを行う年も多いことがわかります。

配当性向を見るとまだ還元余力がありそうです。

NTTの株主還元方針は以下のようになっています。

IRプレゼンテーション 2024年5月

一株当たりデータ

株主資本配当率(DOE)は近年、高水準になってきています。

ROA(総資産利益率)ROE(自己資本利益率)

以下は、ROA、ROEでNTTの収益性を折れ線グラフで示しています。

マネックス証券

  • ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本
  • ROA(%) = 当期純利益 ÷ 総資産

一般的に、自社株買いを積極的に行っている企業の場合、純資産が減り自己資本比率が低下するのでROEが高くなります。

また、配当による株主還元を積極的に行っている企業は現金(内部留保)を減らすことになり、財務レバレッジが向上するので、ROEが高くなります。

財務レバレッジ=総資産/自己資本ですので、ROA(%) = 当期純利益/総資産に財務レバレッジをかけ合わせると、当期純利益/総資産 × 総資産/自己資本= 当期純利益/自己資本 = ROEとなります。

つまりROEはROA × 財務レバレッジということになります。

ROEは当期純利益を自己資本で割ったもので、株主視点の指標であると言えます。

一方、ROAは当期純利益を総資産で割ったものですので、全社的視点の指標であると言えます。

キャッシュフロー

以下はNTTのキャッシュの推移を表しています。

フリーCFは常にプラスであり、安定してキャッシュを創出できている企業です。

今回の内容が参考になれば幸いです。

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