知的戦闘力を高める 独学の技法|山口 周著

本を手に取ったきっかけ・感想

以前、読んで心に残った「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」と同じ著者である本書が図書館の返却棚にありましたので手に取りました。

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? |山口 周 著

今回は山口 周さんの著書、「知的戦闘力を高める 独学の技法」を解説します。

この書籍がオススメの人
  • VUCAの時代を生きるビジネスパーソン
  • 自己啓発をキャリアアップに繋げたい人

人生に取り入れたい文脈

本も読むだけではなくて、行動に移さなければ意味がありません。

ここからは個人的に、人生に取り入れようと感じた、文脈や文意をいくつか紹介していきます。

すぐに取り出せるから忘れられる_読書記録

私は読書ノートをつけていますが、本書でも読書ノートの付け方について解説されています。

参考にしようと思った点や、既に似たようなことを取り組んでいるものもありましたので紹介します。

本書に限らず、読書記録の付け方については様々な書籍や媒体で紹介されています。

その方法は色々ありますので皆さんも、ご自身に合う方法を見つけていただければと思います。

まず、読書記録をつけるメリットですが、選り抜きを転記し、知的ストックを外部に持つことによって、我々は安心して忘れることができます(「忘却の装置」)。

脳のワーキングメモリーのスペースを広く保ち、必要になったときになって初めて引き出し、目の前の知的生産に活用することができます。

そして、私が本書で共感し、読書記録をつける際に重視している点として、精度の高い検索機能になります。

必要になったときに、外部の知的ストックからすぐに情報を引き出し、活用できるからこそ我々は安心して忘れられるのです。

そのためには精度の高い検索機能が不可欠になります。

私はAppSheetで簡単なアプリを作って記録していますが、著者の場合、本書執筆時点ではエバーノートを活用しています。

私のやり方の場合、記録した日付、書籍名、著者名、キーワードなどあらゆる切り口で、文脈を取り出すことができます。

著者は「転記はノートにすべし」という主張に対しては、ビジネスパーソンの知的生産という文脈ではナンセンスと述べており、この点に関しては私も同じ考えで、現在の読書記録の方法を採用しています。

読書記録の付け方

本書では、読書記録をつけるまでを以下の3つのステップに分けています。

初読・・・気になったところに、とりあえずアンダーラインを引く

再読・・・アンダーラインを中心に読んでやはり面白い、重要と思われる箇所に付箋を貼る

三読・・・付箋を貼った箇所を読んで、後々に参照しそうな箇所を選り抜いて転記する

アンダーラインを引く箇所については基本的に「直感的に面白いと思った箇所」がその対象になります。

もう少し噛み砕くと、次の三つがアンダーラインを引くべき箇所になります。

  1. 後で参照することになりそうな興味深い「事実」
  2. 興味深い事実から得られる「洞察」や「示唆」
  3. 洞察や示唆から得られる「行動」の指針

ここでポイントになるのが、自分がいいと思った情報、共感したり納得できる情報だけでなく、共感できない情報、反感を覚える情報にもアンダーラインを引いておきます。

共感できない、反感を覚えるということは、その情報が自分の 価値観や思考を映し出す反射鏡になるからだと本書では述べられています。

本書では、最終的に転記するのは5箇所、多くても9箇所を推奨しています。

理由としては、あまりにも多いと転記をする作業に嫌気がさすからと述べられています。

尚、STEP1のアンダーラインを引く段階では、迷ったらアンダーラインを引くことを推奨しています。

現在は、写真からテキスト化できる優れたアプリがありますので、私の場合、転記を多めにして、その中から選りすぐりの文脈を、ブログにまとめたり、Xで発信するようにしています。

AppSheetでストックしている読書ノートは、アウトプット用の素材という位置づけです。

ゼネラリストって本当に時代遅れ?

この本を読んで、今後はゼネラリストとしてのキャリアも意外と重要なのではないかと感じるようになりました。

AIがここまで進化するまでの時代でしたら、ゼネラリストは時代遅れで、これからは専門性を高めスペシャリストを目指したほうが良いという主張もある程度納得できました。

しかし、本書を読んでこれからの時代必ずしもそうとも言えないなと感じました。

イノベーションという言葉の生みの親であるシュンペーターは、次のように指摘しています。

イノベーションというのは常に「新しい結合」によって成し遂げられます。

この「新しい結合」を成し遂げるためには、それまでに異質のものと考えられていた二つの領域を横断し、これをつなげていく人材(クロスオーバー人材)が必要になります。

そして、個別専門の領域を超えて動くことのできる「自由さ」を与えてくれる唯一のものとして、リベラルアーツが重要になってくると述べられています。

変化の激しい時代の中であっても普遍的なリベラルアーツの重要性が相対的に高まるというのは未来を想像すると理解できます。

これからの時代のリーダー像

クロスオーバーな働きが、まさにこれからの時代のリーダーにも求められるという指摘についてはそのとおりだと感じました。

領域を超えるというのは、リーダーにとって必須の要件と言えます。

リーダーの仕事は、異なる専門領域のあいだを行き来し、その領域の中でヤドカリのように閉じこもっている領域専門家を共通の目的のために駆動させることです。

専門性を極めることがキャリアには大事だと思っていましたが、考えてみれば、専門知識への情報アクセスは今後も容易になると思いますし、変化の激しい時代ですので陳腐化しやすいかもしれません。

それよりも、専門性をもった人と人を繋げたり、プロジェクトを推進していく中で、専門性をもった人、あるいはこれからはAIを、適切なタイミングで活用できることも重要なのではないかと感じました。

また、クロスオーバー人材になるためには、複数の専門性を兼ね備えることも大事だと思いました。

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