今回はマーケティングリサーチの手法の一つMaxDiff法について解説していきます.
MaxDiffはMaximum Difference Scalingの略です.
Best-Worst Scalingとも呼ばれています.
以下のように、消費者が何かを購入する際など最も重要な要素と最も重要でない要素を選択させることで,各要素がもつ相対的な重要度を求めることが可能になります.
あなたがマンションを買う時,以下の要素のうち,最も重視するものと最も重視しないものをそれぞれ1つずつお選びください.
商品開発をする段階で製品スペックを決めるために、コンジョイント分析などと共に用いられます。
Maxdiffを行うメリットとしては以下が挙げられます.
- 必要不可欠な要素と犠牲にできる要素(トレードオフ)を観察することでスコアリングができる
- 強制的に選択させる事によって、より重要な要素、より重要でない要素が明確になる
- 強制的に選択させる事によって、回答者間での違いが明確になる
- どれを重視するかを選ばせるので非常にシンプルであり回答者の負担が少ない
- 尺度法をよく理解していない回答を回避できる
一般的に行われている上の様な尺度法の調査では,以下の様な問題点があります.
- バイアス(人による尺度の違い,文化の違い)
- 評価項目間の順位付けや比較が困難
- 尺度法を理解していない回答が起こり得る
日本人は両極端(上の例ですと「最も重視しない」や「最も重視する」)を選びにくいと言われている一方,中国人に調査をした場合,日本人と比較すると両極端を選びやすいなど文化的な違いが見られることがあります.
また,人によっては5段階評価のうち4を多くつけてしまいがちということもあります.
先程の尺度法の調査で築10年以内と南向きを「重視する」と回答した回答者の場合,築10年以内と南向きが物件条件としてどちらの方が重視されるのかを比較することはできません.
尺度法を理解していない回答が起こり得る例として,なかなか良い例が思い浮かびませんが,例えばストレスチェック調査で以下のような質問があった時に,筆者はイライラすることがないという回答にもかかわらず,急いで回答するときなど「私は普段からイライラする」まで質問票を読み(質問文を最後まで読まずに),無いなということで間違えて「当てはまらない」を選択してしまいそうになる時があります.
<選択肢>
〇当てはまる
〇やや当てはまる
〇どちらでもない
〇やや当てはまらない
〇当てはまらない
Maxdiffのメリットとしてもう少し深堀すると,例えば以下のA~Dの4つの要素について,最も重視するものと,最も重視しないものを選択させた場合,可能性のある6つの比較パターンのうち5つの比較結果を知ることができます.
上の例ではAが最も重視するものとして選択がされましたので,AはB,C,Dと比較して重要ということが分かりますし,Dが最も重視しないものとして選択されていますので,BやCはDよりは重視されているということが分かります.
上の調査結果からは,回答者の嗜好度としてBとCではどちらが重視されているかが唯一分からないということになります.
アウトプットイメージとしては以下の様に,項目間の優先順位が分かり,項目間を定量的に比較することが可能です.
いかがでしたでしょうか。
アンケートや調査票を作成する際に、回答者が選択肢を選ぶのに疲れてしまうような内容ですと、回答の精度も下がってしまいます。
回答者の負担を少なくするというのも重要な視点です。
今回の内容が参考になれば幸いです。