社会問題解決・高需要・高利益率・ストックビジネス|カナミックネットワーク(3939)

株式会社カナミックネットワーク銘柄分析

カナミックネットワークは医療・介護・健康分野に特化したSaaS型のIT企業です。

2016年に東証マザーズに上場、2018年に東証一部に上場しています。

クラウドプラットフォーム事業

業績の屋台骨になっているのがクラウド事業で、地方自治体や医師会及び介護サービス事業者向けの多職種間連携を可能にする地域連携型のクラウドサービスを提供しています。

医療介護において、同じ患者さんをサポートしている医療・看護・介護・自治体といった多職種・他法人の方が情報共有・連携しながら業務をできるシステムを構築しています。

患者さんにとっては、ケアをするスタッフが変わっても、一から色々な情報を申告しなくても必要な情報は自動的にケアチームが知ってくれている状態になります。

医療介護の現場にとってはDX化により、地域連携・介護の業務管理が効率的になります。

事業そのものが超高齢社会の課題への取り組みになりますし、医療介護現場のペーパレス化により、間接的にCO2排出削減にも貢献していますので、ESG及びSDGsの観点でも社会的に意義のある事業を行っています。

今後の業績を占う上では、クラウドで堅調な売上を伸ばせるかどうかが重要になります。

現在、全国1300地域以上26万人以上の医療介護従事者、約40000事業所以上がカナミックを利用しています。

さらに医療・介護情報を共有するノウハウを子育て支援にも活かそうとしています。

カナミックネットワーククラウドサービスを利用することで、自治体からの情報発信(予防接種情報、イベント情報等)、子育て日記や電子母子手帳、母親SNS機能などを活用することができます。

子育てから介護・ヘルスケアまでDX・IT化することで人生全体のライフログを見えるようにしたプラットフォームを目指しているようです。

健康寿命延伸

24時間営業のフィットネスジム(株式会社アーバンフィット)の運営及びフランチャイズを展開しています。

カナミックは2022年5月にアーバンフィットを買収し、フィットネス事業を開始しました。

M&A戦略としては以下の4象限の左上を目的としたものであると思われます。

健康寿命延伸効果の測定と健康のDX化を進め、データの利活用によるヘルステックサービスの提供まで見据えた買収になります。

カナミックが持つ医療ネットワークとの連携を行い、フレイル予防など人の健康を長期的にサポートすることを目指します。

付加価値の高いジムでサービスを提供し、生涯通い続けられるジムを目指します。

プラットフォームサービス

カナミッククラウドサービスのユーザーに対して、インターネット広告配信、

公益財団法人介護労働安定センターを通じたホームページの受託制作、運営・管理及び介護職の求人広告サイトの運営・管理を行っています。

ソリューション開発事業

アジャイル開発を得意とするRuby言語に特化したシステム開発会社の株式会社Ruby開発をM&Aしています。

Ruby開発は、カナミックグループの重要な開発力として、クラウドプラットフォームのサービス開発のさらなる推進に大きな力をもたらすだけではなく、メガベンチャー企業やスタートアップ企業のWebサービスの企画・開発の提供を行っています。

その他

厚生労働省や総務省事業などのプロジェクト請負や地方創生事業におけるコンサルテーションサービスなどカナミッククラウドサービスに付随する事業を行っています。

成長戦略

2025年からは海外展開も目指しています。

国が経済的に豊かになれば、次に健康や長寿に対するニーズが高まります。

高齢化先進国日本の医療介護・ヘルスケアのサービスのノウハウで、海外でも儲けられる姿を目指します。

財務情報分析

ここからは財務情報分析を紹介します。

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貸借対照表(B/S)

以下は、カナミックのバランスシートです。

流動資産が流動負債を上回っているので短期負債の資金ぶりが問題になることもなさそうです。

直近自己資本比率は56.2%となっています。

2022年は株式会社アーバンフィットを完全子会社化したことにより、資産と負債が増加してます。

損益計算書(P/L)

以下は、カナミックの損益計算書です。

カナミックは営業利益率が40%近くと、非常に高い収益性です。

医療・介護・子育て分野の有料ユーザーからの月額課金、無料ユーザーに対するプラットフォームサービスの課金、インターネット広告の収入といったストックビジネスが主体となっています。

トップラインが高くなればなるほど利益率が高くなる収益構造になっています。

売上高・営業利益・営業利益率・純利益

第20期会計年度(2020年9月)より連結財務諸表となっています。

表示期間増収増益を継続しています。

有価証券報告書より作成

株主還元

<配当方針>
配当性向30%以上

カナミックは5期連続増配をしてきています。

株主優待があり、株主総会で社長が抽選してJCBカードを贈呈する優待と、全国のURBAN FIT24の優待券が贈呈される優待があります。

URBAN FIT24の優待券は1枚につき最大2名、同伴者1名まで利用可能です。

レンタルタオル、レンタルウェア、レンタルシューズ付きで、1枚5,940円相当の優待券です。

ROA(総資産利益率)ROE(自己資本利益率)

以下は、ROA、ROEでカナミックの収益性を折れ線グラフで示しています。

マネックス証券

  • ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本
  • ROA(%) = 当期純利益 ÷ 総資産

一般的に、自社株買いを積極的に行っている企業の場合、純資産が減り自己資本比率が低下するのでROEが高くなります。

また、配当による株主還元を積極的に行っている企業は現金(内部留保)を減らすことになり、財務レバレッジが向上するので、ROEが高くなります。

財務レバレッジ=総資産/自己資本ですので、ROA(%) = 当期純利益/総資産に財務レバレッジをかけ合わせると、当期純利益/総資産 × 総資産/自己資本= 当期純利益/自己資本 = ROEとなります。

つまりROEはROA × 財務レバレッジということになります。

ROEは当期純利益を自己資本で割ったもので、株主視点の指標であると言えます。

一方、ROAは当期純利益を総資産で割ったものですので、全社的視点の指標であると言えます。

カナミックはROAやROEの水準が高く、収益性が高いことがわかります。

キャッシュフロー

以下はカナミックのキャッシュの推移を表しています。

FCFは表示期間でプラスであり、毎年キャッシュが積み上がっていることがわかります。

2023年は財務CFで大きなマイナスとなっています。

これは新株予約権付社債の償還による支出が2,028百万円と大きな割合を占めています。

新株予約権付社債は、成長実現のためのM&A資金調達を目的としたものでした。

今回の内容が参考になれば幸いです。

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