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BATNAとZOPA
BATNA
Best Alternative to Negotiated Agreement(BATNA)は交渉相手から提示された選択肢以外で最も望ましい代替案を指します。
ZOPA
Zone of Possible Agreement(ZOPA)は交渉が妥結する可能性がある条件範囲を指します。
BATNAとZOPAの例
BATNAとZOPAの具体的な例を見てみましょう。
Aさんの立場
Aさんは子どもが来年小学校に入学するため、手狭になってきた賃貸から住み替えるために、近隣エリアで中古物件を探しています。
管理費や修繕積立金を毎月支払うことを想定して、月々のローン返済額はこれまでの月々の家賃と同じぐらいに抑えたいと考えており、物件価格は3,200万円を限度に考えています。
近隣の中古物件を探していたところ、Bさんが所有していた中古マンションの物件に大変魅力を感じました。
ただ、売出し価格が3,300万円と少し予算オーバーであるため、交渉できないかと考えています。
Bさんの立場
BさんはAさんが希望しているエリアで生活をしていましたが、急な転勤により、住んでいたマンションの部屋をできるだけ早く売却しなければならなくなりました。
しかし、ローンの残債が3,000万円残っているため、少なくとも3,000万円以上では売りたいと考えており、少しでも高く買ってもらえる買い主に売りたいと考えていたことから、3,300万円の売出し価格で買い主を募集することにしました。
AさんとBさんのBATNAとZOPA
Bさんは少なくともローン返済額の3,000万円以上で売りたいと考えていますので、最低限度額の3,000万円がAさんにとってのBATNA(最も望ましい代替案)になります。
一方で、Aさんは物件価格は3,200万円を限度と考えていますので、少しでも高く売りたいBさんのBATNAは3,200万円ということになります。
交渉が妥結する可能性がある範囲のZOPAはそれぞれのBATNAの3,000万円~3,200万円ということになります。
BATNAとZOPAを図示すると以下のようになりますが、交渉相手の限界値が自身のZOPAであることがわかります。
Bさんから提示されている売出し価格3,300万円と、AさんとBさんはぞれぞれ自身の限界値はわかった上で交渉のテーブルにつくことができます。
一方、交渉相手の限界値を知ることはできません。
そのため、交渉を通じて可能な限り相手の限界値を予測することは、交渉を有利に進める上でも重要になります。
一方で、自分の限界値は相手に知られないようにすることが重要です。
ZOPAがない例
単純価格交渉で、他に合意の可能性が生まれる争点がないという前提で、Aさんの許容範囲とBさんの許容範囲が交わらない場合はZOPAがない例になります。
このような場合、交渉の余地はないでしょう。
例えば先程の例だと、Bさんには提示価格の3,300万円なら即決してくれるCさんという買い主候補がいた場合です。
特段、Aさんを優遇する理由がない限り、Bさんは本来、少しでも高く売れる売り主にできるだけ早く売りたいので、Cさんに売ろうと考えます。
このときBさんの限界値は提示価格の3,300万円での売却になります。
Aさんの限界値は3,200万円での購入でしたので交渉の余地がなくなります。
今回の内容が参考になれば幸いです。