「言葉にできる」は武器になる。|梅田 悟司 著

本を手に取ったきっかけ・感想

著者は本書執筆時点で、株式会社電通のコピーライター、コンセプターでしたが、理系一辺倒で、さほど読書経験もしてこなかったといいます。

そんな著者が、いかにして思考を深め、1人でも多くの人の心に響く言葉を生み出そうとしているのかを、誰もが同じプロセスをたどれるように順を追って説明しているのが本書です。

短期的かつ急激に言葉を磨くことはできないが「内なる言葉で思考を深め、外に向かう言葉に変換する」といった流れを体得することで、一生モノの「言葉にできる力」を手にすることができるようになることを目指しています。

私が本書で特に印象に残ったのは方法論よりも、常に頭の中に浮かぶ「内なる言葉」の存在に意識を向け、「内なる言葉」を磨く鍛錬を積むという考え方です。

「内なる言葉」に向き合った結果、言葉が生まれる源泉としての思考が鍛えられ、湧いて出てくる言葉に重みや深みが増してくるという考え方です。

著者自身も、このことに気が付いたのはコピーライターとして過ごして5年目にさしかかった時とのことです。

その前後では、著者自身の生み出す言葉の質が一変したと断言しています。

それからというもの、職業人として生み出す言葉だけではなく、あらゆる局面でのコミュニケーションが一気に円滑になったと実感しているといいます。

決して、使う言葉を変えたわけではない。小手先の言葉の技術を学んだわけでもない点も注目に値します。

私も同じ経験をしていますので本書を取り上げました。

個人的には、読書は自分の内なる言葉に意識を向ける、良い手段だと感じています。

今回は梅田 悟司さんの著書、「「言葉にできる」は武器になる。」を紹介します。

この書籍がオススメの人
  • 心に響く発信をしたい人
  • 言語化に苦労している人

人生に取り入れたい文脈

本も読むだけではなくて、行動に移さなければ意味がありません。

この記事では個人的に共感した部分、覚えておこうと感じた部分、人生に取り入れてみたいと感じた部分だけを断片的に取り上げています。

必ずしも書籍の内容の全体を俯瞰しているわけではありませんので、詳細は書籍を購入して確認してください。

言葉が持つ役割

言葉には、以下の2つの側面が存在します。

「外に向かう言葉」:会話やメールなどで使われる言葉。コミュニケーションをするための道具としての側面。

「内なる言葉」:物事を考えるために無意識に使っている言葉。人が物事を考える時に頭の中で使っている言葉であり、考えを進める、広げる、深める、といったあらゆる側面で機能する。

世の中の風潮として、コミュニケーションの道具である「外に向かう言葉」の比重が高まりすぎている点を本書では危惧しています。

書店やセミナーに行くとわかると思いますが、「伝え方」や「雑談力」のスキルが溢れています。

しかし、これらを学んでも「理解はできたが実践できない」というジレンマに陥る人が多いのも現実です。

本書で述べている「言葉は思考の上澄みに過ぎない」 というのは本質をついているように思います。

考えていないことは口にできないため、思考の深化なくして言葉だけを成長させることはできないということです。

相手の胸に響く言葉を生み出すために必要なのは、外に向かう言葉のテクニックを磨くことではなく、「内なる言葉」にアプローチするという考え方は、他の書籍と異なった特徴的なアプローチです。

「内なる言葉」

「内なる言葉」の正体とその重要性についてもう少し深堀りしていきたいと思います。

内なる言葉」の定義

人が物事を考える時に頭の中で使っている言葉であり、自分という存在、考え、価値観と向き合い、深く思考していく役割を担うもの。

内なる言葉とは、その人ならではの「世の中を見渡す視点(性格や個性そのもの)」です。

同じ情報(ドラマや本など)に触れても人によって感じ方が異なるのは、これまで生きてきた中で培われた視点(内なる言葉)が違うためです。

頭に浮かぶあらゆる感情や考えは「内なる言葉」によってもたらされます。

今自分が何を考えているのかを正確に把握することで、自然と「外に向かう言葉」に重みや深さ、納得感が生まれます。

言葉に重みが生まれる最大の理由

本心と体験の合致

言葉に重みが生まれる最大の理由は、発信者が自身の体験から本心で語り、心から伝えたいと思う「必死さ」や「切実さ」にあります。

真実味の重要性

人間の源泉(経験、体験、培われた思考)から湧き出る言葉に込められた「真実味」や「確からしさ」こそが、人の心に響くかを決めます。

建前からの脱却

自分の本当の気持ちに丁寧に向き合わなければ、「こうしなければならない」という建前(借りてきたような言葉)が先行し続け、迫力や説得力のないものになってしまいます。

私自身は、若手の頃、上司の言葉に重みが感じられない場面がありました。

別に変なことを言っているわけではなかったですし、話し方もスムーズではあったのですが、当時はその違和感を言語化することができませんでした。

なんとなく、その当時の上司は、さらにその上の上司の伝書鳩のように感じられ、そこに、直属の上司の中で、考えや方針に納得し消化したうえで、部下に伝えているようには思えなかったのです。

本書を読んで、そういうことだったのか!という気持ちになりました。

また、スキルやテクニックをもってして外に向かう言葉を発しても、聞き手にとって内なる言葉を無視した発言のように感じられてしまった場合、こんなにも心に響かない・重みを感じないものになるのかと感じました。

「内なる言葉」を磨くアプローチ

内なる言葉が磨かれ、語彙力や解像度が高まった段階に達すれば、自分の気持ちをすんなりと外に向かう言葉へと変換できるようになるため、特ににスキルやテクニックは不要となります。

大事なのは内なる言葉は外に向かう言葉の「タネ」であるという考え方です。

内なる言葉を無視して外に向かう言葉(スキルやテクニック)だけを磨いても、アウトプットの内容は変わりません。

重要なのは、どう言うか・どう書くかではなく、自分の気持ちを把握した上で、自分の意見をどう伝えるかなのです。

本書では「内なる言葉」を磨く具体的なアプローチについても紹介しています。

自分が今、内なる言葉を発しながら考えていることを強く意識します。

そして頭に浮かんだ言葉を書き出します。

書き出された言葉を軸にしながら、幅と奥行き(語彙力と解像度)を持たせていきます。

この記事では、私が最も印象に残った考え方の紹介にとどめていますので、具体的な方法については本書を手にとって見ていただきたいと思います。

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