目次
米国の高配当ETF:VYM vs HDV vs SPYDのどれがおすすめか
今回は米国の高配当ETF:VYM vs HDV vs SPYDについてどれがおすすめなのか解説します。
結論を記載しますと、以下の選択基準であなたが重視している項目を決めることで、有力なETFを選択することができるでしょう。
筆者の場合、利回りの高さよりも増配を重視していますのでVYMを選択しています。
選択基準 | VYM | HDV | SPYD |
---|---|---|---|
単価が安い | ◯ | ||
大型株重視 (S&P500銘柄) | ◯ | ||
小型株を含めたい (S&P500銘柄以外) | 1位 | 2位 | 含まない |
純資産総額 | 1位 | 2位 | 3位 |
設定から歴史が長い | 1位 | 2位 | 3位 |
値上がり重視 | ◯ | ||
分配利回り | 3位 | 2位 | 1位 |
分配金の成長 | ◯ | ◯ | |
連続増配 | 1位 | 2位 | 3位 |
配当貴族 銘柄数が多い | 1位 | 2位 | 3位 (HDVと僅差) |
配当貴族 銘柄のウェイトが高い | 2位 | 1位 | 3位 |
低い経費率 | 1位 (僅差) | 3位 (僅差) | 2位 (僅差) |
分散 (構成銘柄数が多い) | 1位 | 3位 (SPYDと僅差) | 2位 |
ウェイト付け | 時価総額加重平均 | 配当支払いの資金余力でウェイト付け | 均等配分のウェイト |
米国の高配当ETF:VYM vs HDV vs SPYDの概要比較
以下が米国の高配当ETF:VYM vs HDV vs SPYDの概要を比較した結果になります。
Ticker | VYM | HDV | SPYD |
---|---|---|---|
名称 | バンガード 米国高配当株式ETF | iシェアーズ コア 米国高配当株 ETF | SPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF |
基準価額 (米ドル) | 108.22 (2022/12/30) | 103.65 (2023/01/03) | 39.58 (2022/12/30) |
投資対象 | 平均以上の配当を出す米国株(除く、REIT) | 財務の健全性が高く、 持続的に平均以上の配当出している上位75銘柄 | 米国大型株(S&P500)の 配当支払い上位80銘柄 |
ウェイト付け | 時価総額加重平均 | 配当支払いの資金余力でウェイト付け | 均等配分 |
純資産総額 (百万米ドル) | 50,202.06 (2022/12/30) | 13,115.17 (2022/12/30) | 7,432.92 (2022/12/30) |
設定日 | 2006/11/10 | 2011/03/29 | 2015/10/22 |
分配利回り | 3.00 % | 3.58 % | 5.01 % |
経費率 | 0.06% | 0.08% | 0.07% |
構成銘柄数 | 442 (2022/11/30) | 75 (2022/01/08) | 78 (2022/01/08) |
値動き比較
以下のチャートを見てください。
赤がVYM、緑がHDV、青がSPYDを示しており、SPYDの設定来の値動きを比較しています。
VYMが一番株価の成長が見られています。

セクター比較
以下がセクター比較です。
セクター別割合で見ると3つの高配当ETFで特徴が分かれています。
VYMは金融セクターが最も大きな割合を占めています。
HDVはエネルギーセクターの割合が高いです。
SPYDはVYMやHDVには含まれていない不動産セクターを含んでいます。
構成銘柄重複とS&P500銘柄のウェイト
今回は以下の2つの視点で検証しました。
①組入銘柄数として何%重複しているか
例)
100銘柄で構成されているETFのうち40銘柄が比較対象ETFの投資対象と重複している場合、40%が投資対象と重複しているものとして集計
②構成比率として何%重複しているか
例)
100銘柄で構成されているETFの60%の構成比率を占めている40銘柄が比較対象ETFの投資対象と重複している場合、60%が比較対象ETFと重複しているものとして集計
ETF Research CenterのFund OverlapでもOverlap割合を出すことができますが、当ブログでは上記の定義で重複銘柄割合を算出しています。
①銘柄数として何%重複しているか
結果の見方は次のようになります。

例えばS&P500ETFのSPYとの重複銘柄数がVYMの構成銘柄数に占める割合を求めると43%になります。
VYMの構成銘柄数の43%がSPYの組入銘柄ということになります。
S&P500組位入れ銘柄数が各高配当ETFの組入銘柄数の何%を占めているかという観点で見ると、SPYDはS&P500組入銘柄から高配当株に絞っていますので、100%がS&P500組入銘柄になっていることが分かります。
一方で、VYMの組入銘柄数の半数以上がS&P500組位入れ銘柄ではないことが分かります。
②構成比率として何%重複しているか
結果の見方は次のようになります。

S&P500組位入れ銘柄数が各高配当ETFの組入銘柄数の何%を占めているかという観点で見ると、VYMの組入銘柄数の半数以上がS&P500組位入れ銘柄ではないということを先程解説しました。
一方でVYMは時価総額加重平均であることから、構成比率で見るとS&P500組位入れ銘柄(VYMとSPYの重複銘柄)はVYMの構成比率の9割以上を占めていることが分かります。
したがって、銘柄数では半数以下のS&P500組位入れ銘柄でVYMの構成比率の9割以上のウェイトを占め、値動きに大きな影響を与えることが想定されます。
スポンサーリンク
VYM vs HDV vs SPYDの構成銘柄重複
組入銘柄数で見ると、HDVやSPYDで投資しているものの8割以上はVYMでも投資をしていることが分かります。
特にHDVは組入銘柄数と構成比率両方から見ても、ほぼすべてVYMに投資をしておけばカバーができることが分かります。
同じ高配当ETFでもHDVとSPYDでは組入銘柄数の重複が3割程度となっており、投資対象がある程度異なり、またウェイトのかけ方もそれぞれのETFで特徴がありますので高配当投資家の好みが分かれるところかもしれません。
配当貴族比率
VYM、HDV、SPYDについて、長期に渡り毎年連続増配実績がある配当貴族銘柄がそれぞれのETFの構成比率に占める割合を比較しました。
今回、配当貴族ETFであるNOBL(日本の証券会社では取扱なし)との重複銘柄が各高配当ETFに占める割合を算出しました。
以下はスクロールすることができます。
表の一番下を見ると配当貴族銘柄のウェイトが最も大きなETFはHDVでした。
配当貴族の定義について知りたい方は以下の記事でまとめていますので興味のある方は参考にしてください。
配当貴族銘柄一覧についても以下の記事でまとめています。

上の記事では、 米国の配当王・配当貴族銘柄一覧を紹介していますが、以下の米国会社四季報(東洋経済)でも特集で連続増配年数トップ50の企業とその連続増配年数が紹介されています。
もちろん会社四季報ですので、連続増配の特集だけではなく、個別企業の業績・財務情報から日本で売買可能な主要な米国ETFまで、投資家のバイブルになるような情報が豊富に詰め込まれています。
会社四季報ということで分厚い本になりますので、筆者のおすすめは電子書籍です。
もし個別株で長期保有できる銘柄を探している場合、無料メルマガ登録で永久保有株の特別レポートがもらえる配当貴族はS&P500組入銘柄であることが前提条件ですが、意外にもSPYDの構成比率に占める配当貴族銘柄の割合は大きくありません。
配当貴族銘柄は25年以上連続増配している実績のある企業群ですが、SPYDに組入れられるような高配当企業はそこまで多くないことを示しています。
分配金の成長比較
暦年(Calendar Year;CY)の合計分配金の推移をまとめると以下のようになります。
SPYDだけ設定日が最近ですので、2016年以降の表示になります。
SPYDの設定年である2016年のCYの合計分配金を100%とした時の、年ごとのCY合計分配金の成長を以下に示します。
VYM、HDV、SPYDの分配金の推移は次のようになります。
バンガード 米国高配当株式ETF(VYM)
iシェアーズ コア 米国高配当株 ETF(HDV)
SPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF(SPYD)
5年増配率(年率)と配当利回りの関係
以下は、5年増配率(年率)と分配金(配当金)利回りの関係を示しています。
連続増配個別銘柄の配当王(青色)、配当貴族(黄色)、配当王でもあり配当貴族でもある銘柄(赤色)と高配当ETF(緑色)を重ね合わせています。
配当利回りが高いと増配率が落ちる傾向にあることが分かります。
配当王・配当貴族銘柄の詳細については以下の記事でまとめていますので参考にしてください。

5年株価成長率(年率)と配当利回りの関係
以下は、5年株価成長率(年率)と分配金(配当金)利回りの関係を示しています。
連続増配個別銘柄の配当王(青色)、配当貴族(黄色)、配当王でもあり配当貴族でもある銘柄(赤色)と高配当ETF(緑色)を重ね合わせています。
配当利回りが高いと株価成長率が落ちる傾向にあることが分かります。
まとめ
以上をまとめると、米国の高配当ETF:VYM vs HDV vs SPYDについて、以下の選択基準であなたが重視している項目に注目して選択すると良いでしょう。
選択基準 | VYM | HDV | SPYD |
---|---|---|---|
単価が安い | ◯ | ||
大型株重視 (S&P500銘柄) | ◯ | ||
小型株を含めたい (S&P500銘柄以外) | 1位 | 2位 | 含まない |
純資産総額 | 1位 | 2位 | 3位 |
設定から歴史が長い | 1位 | 2位 | 3位 |
値上がり重視 | ◯ | ||
分配利回り | 3位 | 2位 | 1位 |
分配金の成長 | ◯ | ◯ | |
連続増配 | 1位 | 2位 | 3位 |
配当貴族 銘柄数が多い | 1位 | 2位 | 3位 (HDVと僅差) |
配当貴族 銘柄のウェイトが高い | 2位 | 1位 | 3位 |
低い経費率 | 1位 (僅差) | 3位 (僅差) | 2位 (僅差) |
分散 (構成銘柄数が多い) | 1位 | 3位 (SPYDと僅差) | 2位 |
ウェイト付け | 時価総額加重平均 | 配当支払いの資金余力でウェイト付け | 均等配分のウェイト |
時価総額加重平均のウェイト付けで、銘柄も分散されているVYMが最もクセがなく、万人におすすめできるETFになります。
HDVは財務の健全性が高い高配当株への投資を低い経費率で実現しているので、有望な投資対象ですが、HDVが投資対象としている銘柄はVYMでもほぼ投資対象としている観点から、やはり万人におすすめできるのはVYMになります。
対照的にSPYDは、S&P500銘柄の中でも業績が伸び悩み、高配当化が進んでいる銘柄も組入れられる可能性があり、逆に業績好調で配当利回りが下がってしまった銘柄は除外されてしまうという側面があります。
SPYDは均等配分のウェイトになりますので、高配当化が進んでいる銘柄の高い配当利回りの恩恵が受けられる一方で、業績が伸び悩んでいる銘柄の株価の影響も受けます。
また、配当利回りが下がり、除外されてしまった株価好調な銘柄の値上がりの恩恵が受けられないという側面もあります。
VYM程値上がりが期待できない一方、ETFの分配利回りを上げることに注力されたようなETFと言えるでしょう。
ポートフォリオの利回りを少しでも上げたい方にはSPYD>HDV>VYMという順番の選択になるでしょう。
経費率の観点では、何れの高配当ETFも同様の水準で良心的です。
今回の内容が参考になれば幸いです。