【MCD】業績とキャシュフローマトリクス

マクドナルド (MCD)について

外食で世界首位のハンバーガーチェーンです。

McDonald’s Corporation(以下、MCD)はレストランの経営およびフランチャイズに従事しています。

以下は事業セグメント別売上高です。

2021 Annual Reportより作成

MCDは事業再編により、世界のマクドナルドレストランのうち93%までフランチャイズ比率を高めています( 2021年12月31日時点)

フランチャイズ収入には初期費用、フランチャイズ店舗に貸し出す土地・建物の収入と売上高に応じたロイヤリティが含まれています。

FORM10-Kを見るとフランチャイズ収入のうち、フランチャイズ店舗に対する不動産収入が大きな柱になっていることが分かります。

FORM10-K
ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ

マクドナルドの合理的なシステムとフランチャイズ化成功の秘話など、興味のある方は「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」を見てみてください。

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売上高に応じたロイヤリティについて、例えば日本マクドナルドの場合(日本マクドナルドの)直営店舗とフランチャイズ店舗の合計売上から3%のロイヤリティをMCDに支払っています。

注目すべき点は収益性で、直営レストランは営業利益率が18%、フランチャイズレストランは82%となっています。

マージンで見ると以下のようになっており、フランチャイズ化が業績の安定に貢献していることがわかります。

2021 Annual Reportより作成

地域別の売上はありませんが、International Operated Marketsのセグメントはオーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ロシア、スペイン、英国での直営レストランとフランチャイズレストランで構成されています。

U.S.市場も同様で直営レストランとフランチャイズレストランで構成されています。

International Developmental Licensed Markets & Corporateは、マクドナルドシステムの開発ライセンスおよび関連市場で構成されています。

2021 Annual Reportより作成

財務情報分析

貸借対照表(B/S)

以下は、MCDのバランスシートです。

Google Chart Tools サンプル

2021年 Annual Reportより作成

純資産がマイナスで債務超過であることがわかります。

MCDはフランチャイズ店舗に貸し出している土地や施設をたくさん持っているので、有形固定資産の比率が非常に高くなっています。

リース使用権資産$13,552.0M
有形固定資産$41,916.6M
減価償却費累計額$-17196.0M
その他資産$8,433.2M
固定資産合計$53854.3M

MCDは株主から集めたお金を使ってしっかりと利益があげられています。

自社株買いを通じた株主還元も実施してきたことがわかります。

自己株式$-67,810.2M
利益剰余金$57,534.7M
純資産合計$-4,601.0M

損益計算書(P/L)

以下は、MCDの損益計算書です。

Google Chart Tools サンプル

2021年 Annual Reportより作成

MCDの損益計算書では上の売上高+その他営業収益から直営店費用+フランチャイズ店費用+その他レストラン費用を差し引いて営業利益として扱っています。

一方、YahooFinanceでは上の営業利益を営業利益としてまとめられています。

MCDはすでに93%をフランチャイズ化していますが、費用に占める割合が大きいのは少ない直営店であることがよくわかります。

直営店の費用には、食品と紙類、給与と福利厚生、テナント費用・その他運営費などが含まれています。

売上高・営業利益・営業利益率・純利益

営業利益率は30%以上の年が殆どで、稼ぐ力が強いことが分かります。

売上高は減少傾向です。

これはフランチャイズ化を進めていることに起因しています。

フランチャイズ店舗の売上はMCDの売上には計上されませんので、フランチャイズ化を進めるにしたがって、売上高は減少傾向になっています。

一方、営業利益と純利益は安定的に推移をしています。

営業利益率の推移を見ると収益性を高めていることが分かります。

飲食業界にしては驚異的な利益率となっています。

Google Chart Tools サンプル

株主還元

以下は、MCDのフリーキャッシュフローの推移を折れ線グラフで示しており、配当と自社株買いを積上げ縦棒グラフで示しています。

本業で得た資金から設備投資などの支出を差し引いた自由に使えるお金(フリーキャッシュフロー)以上に、配当と自社株買いで株主還元を行っている年が多かったことが分かります。

Google Chart Tools サンプル

Annual Report(Common stock dividends, Treasury stock purchases), Yahoo Finance(FCF)より作成

ここ数年は自社株買いが減少傾向です。

MCDは25年以上連続増配を更新中の配当貴族銘柄でもあります。

配当王・配当貴族銘柄については以下の記事を参考にしてください。

配当王・配当貴族が連続増配を実現している配当利回り【2022年9月】

連続増配株ですので配当による株主還元を重視しつつ、業績に応じて自社株買いをするものと思われます。

連続増配実績だけではなく、プロが選んだ買って持っておくだけの優良長期保有米国株については無料インカムレポートも参考にしてください。

ROA(総資産利益率)とROE(自己資本利益率)

以下は、ROAとROEでMCDの収益性を折れ線グラフで示しています。

ROEが表示できていない年は、総資産以上に負債がある年、すなわち債務超過の年になります。

これらの年では自己株式調整利益剰余金がマイナスとなっており、利益以上に配当を出している状態でした。

Morningstar(ValuationのKey Statistics)より作成

  • ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本
  • ROA(%) = 当期純利益 ÷ 総資産

自社株買いを積極的に行っている企業の場合、純資産が減り自己資本比率が低下するのでROEが高くなります。

また、配当による株主還元を積極的に行っている企業は現金(内部留保)を減らすことになり、財務レバレッジが向上するので、ROEが高くなります。

財務レバレッジ=総資産/自己資本ですので、ROA(%) = 当期純利益/総資産に財務レバレッジをかけ合わせると、当期純利益/総資産 × 総資産/自己資本= 当期純利益/自己資本 = ROEとなります。

つまりROEはROA × 財務レバレッジということになります。

米国企業はROEは12%、ROAは6%程度と言われています。

MCDのROAを見ると直近で15%前後で推移しています。

MCDの収益性は高いと言えます。

ROIC(投下資本利益率)とCFROI(投下資本キャッシュフロー率)

貸借対照表の有利子負債と株主資本を合わせた投下資本に注目をしてみました。

Google Chart Tools サンプル

投下資本はTotal shareholders of equity+Long-term debt+Current maturities of long-term debtで算出

税引後営業利益は売上高-(直営店コスト+フランチャイズ店費用+その他レストラン費用+販管費)ー法人税で算出

  • ROIC(%)= 税引後営業利益 ÷ 投下資本(有利子負債 + 株主資本)
  • CFROI(%) = 営業CF ÷ 投下資本(有利子負債 + 株主資本)

ROICは投下資本からどれだけ税引後営業利益を生み出したか、CFROIは投下資本からどれだけ営業キャッシュフローを生み出したかを見ています。

この2つは株主と債権者から調達した資金でどれだけ効率よく営業利益やキャッシュフローを生み出しているかを測るので似たような指標です。

しかしROICの方は、営業利益から法人税を差し引く税引後営業利益(NOPAT)を使うことで、より債権者と株主に帰属する利益をどれだけ効率よく生み出しているかを見ることができます。

債権者に対して支払う負債コストは主に金利です。

株主資本コストは、配当やキャピタルゲインの期待要求利回りです。

政策金利が上がると有利子負債のコストが高くなります。

債権の金利が高くなると、株式の投資妙味を確保するために株主が企業に対して求める投資リターンの水準も高くなります。

この負債コストと株主資本コストを加重平均した資金調達コストがWACCで、企業はWACC以上の利回り、すなわちROICを目指す必要があります。

ROIC(投下資本利益率)とCFROI(投下資本キャッシュフロー率)の結果です。

米国企業のROICは10%程度が平均で、日本企業は6%程度になりますので、投資効率は高いことがわかります。

尚、ROICは株主と債権者両方の視点が入っていますが、先程のROEは当期純利益を純資産(自己資本)で割ったもので、株主視点の指標であると言えます。

一方、ROAは当期純利益を総資産で割ったものですので、全社的視点の指標であると言えます。

EPS・DPS・配当性向

MCDは毎年連続増配していますが、ここ数年の配当性向は60%前後となっております。

Google Chart Tools サンプル
前年比%201120122013201420152016201718.4%4.5%-19.9%59.1%
EPS15.1%1.7%3.5%-13.2%-0.4%13.3%17.1%18.4%4.5%-19.9%59.1%
DPS11.9%13.4%8.7%5.1%4.9%4.9%6.1%9.4%12.9%6.6%4.2%

マクドナルド (MCD)のキャッシュフローマトリクス

MCDのCFマトリクスを紹介します。

今回Morningstarでまとめられているキャッシュフロー計算書を元に2015年~2021年の7年間の営業CFと投資CFデータからCFマトリクスを作成しました。

CFの推移をCFマトリクスで確認することで企業の成熟段階を分析することができます。

以下がその結果です。

CFマトリクスの見方

  • 投資期→安定期→停滞期→低迷期→後退期→破綻期と円を描くような矢印が示されていますが、これは企業の一般的なライフサイクルを示しています。
  • 横軸に営業CF、縦軸に投資CFをとっています。
  • 営業CFがマイナスの場合、ビジネスをすることで損失を出している状態で、プラスの場合はビジネスでキャッシュを得ている状態を指します。
  • 投資CFがマイナスの場合、事業投資をしている状態で、プラスの場合は資産を売却してキャッシュを得ている状態を指します。
  • 点線が営業CF=投資CFのラインになります。
  • CFマトリクス上で点線よりも上に位置している場合、企業のキャッシュは増えていることを示します。

安定期の場合
事業投資も行っているが、ビジネスで儲けた金額の方が大きいことによってキャッシュが増えています。

停滞期の場合
ビジネスでの儲けに加え、資産を売却することでキャッシュが増えています。

低迷期の場合
ビジネスの儲けは損失が出ている状態です。しかし、資産の売却額が本業の損失額よりも大きいため、キャッシュは増えている状態です。

分析期間の7年はビジネスでの儲けが投資額を常に上回っており、毎年着実にCFを増やしていることが分かります。

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