【PG】業績とキャッシュフローマトリクス

プロクター & ギャンブル (P&G)について

PGは世界最大の日用品メーカーです。

以下は事業セグメント別の売上になります。

ファブリック&ホームケア(アリエール、ダウニー、ファブリーズなど)、ベビー・フェミニン&ファミリーケア(パンパースなど)、美容(SK-IIなどのスキンケア商品、パンテーン、h&sなどのヘアケア商品)、グルーミング(ブラウン、ジレットなど)の4つのセグメントに分かれています。

Annual Report (2021)

以下は地域別の売上です。

米国が半分近くを占めており、欧州も2割以上占めています。

中国を含めたアジア市場も欧州に相当する規模になっています。

今後、インドやアフリカなどの地域の経済規模が大きくなれば、さらなる成長が期待できそうです。

Annual Report (2021)

あらゆる生活シーンで多彩なブランドを、グローバルで展開していることが分かります。

PGは50年以上連続増配をしている配当王かつ配当貴族銘柄でもあります。

配当王・配当貴族銘柄については以下の記事を参考にしてください。

配当王・配当貴族が連続増配を実現している配当利回り【2022年9月】

連続増配実績だけではなく、プロが選んだ買って持っておくだけの優良長期保有米国株については無料インカムレポートも参考にしてください。

業績

貸借対照表(B/S)

PGは自社株買いで株主還元をしており、株主から集めたお金を使ってしっかりと利益が挙げることで純資産にも厚みを持たせています。

自己株式$-114,973M
利益剰余金$106,374M
純資産合計$46,654M

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2021年 Annual Reportより作成

損益計算書(P/L)

以下は、PGの損益計算書です。

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2021年 Annual Reportより作成

売上高に占める原価率は49%、販管費は28%、営業利益率は24%と高い収益性を誇っています。

売上高・営業利益・営業利益率・純利益

売上高は右肩上がりではありませんが、営業利益率が上昇傾向にあり、収益性を高めています。

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2014年にペットケア事業をを売却した影響で2015年からの売上は2014年以前よりも低くなっています。

2019年は営業利益と純利益が大きく減少しています。

P&Gは2005年にひげそり事業を手掛けるジレットを買収しました。

ひげそり事業の低迷により減損処理で80億ドルの損失を計上したことに起因しています。

株主還元

以下は、PGのフリーキャッシュフローの推移を折れ線グラフで示しており、配当と自社株買いを積上げ縦棒グラフで示しています。

毎年連続増配するためにはキャッシュが必要になりますので、フリーキャッシュフローと配当金の推移をまとめています。

本業で得た資金から設備投資などの支出を差し引いた自由に使えるお金(フリーキャッシュフロー)の増加に伴って自社株買いと配当による株主還元を積極的に行っていることが分かります。

自社株買いを押さえれば、増配の余地も残されます。

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Annual Report(Consolidated Statements of Cash FlowsのDividends to shareholders, Treasury stock purchases), Yahoo Finance(FCF)より作成

ROA(総資産利益率)とROE(自己資本利益率)

以下は、ROAとROEでPGの収益性を折れ線グラフで示しています。

Morningstar(ValuationのKey Statistics)より作成

  • ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本
  • ROA(%) = 当期純利益 ÷ 総資産

自社株買いを積極的に行っている企業の場合、純資産が減り自己資本比率が低下するのでROEが高くなります。

また、配当による株主還元を積極的に行っている企業は現金(内部留保)を減らすことになり、財務レバレッジが向上するので、ROEが高くなります。

財務レバレッジ=総資産/自己資本ですので、ROA(%) = 当期純利益/総資産に財務レバレッジをかけ合わせると、当期純利益/総資産 × 総資産/自己資本= 当期純利益/自己資本 = ROEとなります。

つまりROEはROA × 財務レバレッジということになります。

米国企業はROEは12%、ROAは6%程度と言われています。

PGのROAを見ると表示期間では12%程度と安定して推移しています。

PGの収益性は高いと言えます。

2019年のROA及びROEの減少は前述の通り、ひげそり事業の損失を計上が関係しています。

ROIC(投下資本利益率)とCFROI(投下資本キャッシュフロー率)

貸借対照表の有利子負債と株主資本を合わせた投下資本に注目をしてみました。

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投下資本はTotal shareholders’ equity-Noncontrolling interest+Long-term debt+Debt due within one yearで算出

税引後営業利益はOperating profit-Gain on dispositions-Provision for taxes on incomeで算出

  • ROIC(%)= 税引後営業利益 ÷ 投下資本(有利子負債 + 株主資本)
  • CFROI(%) = 営業CF ÷ 投下資本(有利子負債 + 株主資本)

ROICは投下資本からどれだけ税引後営業利益を生み出したか、CFROIは投下資本からどれだけ営業キャッシュフローを生み出したかを見ています。

この2つは株主と債権者から調達した資金でどれだけ効率よく営業利益やキャッシュフローを生み出しているかを測るので似たような指標です。

しかしROICの方は、営業利益から法人税を差し引く税引後営業利益(NOPAT)を使うことで、より債権者と株主に帰属する利益をどれだけ効率よく生み出しているかを見ることができます。

債権者に対して支払う負債コストは主に金利です。

株主資本コストは、配当やキャピタルゲインの期待要求利回りです。

政策金利が上がると有利子負債のコストが高くなります。

債権の金利が高くなると、株式の投資妙味を確保するために株主が企業に対して求める投資リターンの水準も高くなります。

この負債コストと株主資本コストを加重平均した資金調達コストがWACCで、企業はWACC以上の利回り、すなわちROICを目指す必要があります。

ROIC(投下資本利益率)とCFROI(投下資本キャッシュフロー率)の結果です。

2019年のROICの減少は前述の通り、ひげそり事業の損失を計上に伴う営業利益の減少が関係しています。

ROICはMorningstar(ValuationのKey Statistics)より作成

米国企業のROICは10%程度が平均で、日本企業は6%程度になりますので、投資効率はか高いことがわかります。

尚、ROICは株主と債権者両方の視点が入っていますが、先程のROEは当期純利益を純資産(自己資本)で割ったもので、株主視点の指標であると言えます。

一方、ROAは当期純利益を総資産で割ったものですので、全社的視点の指標であると言えます。

EPS・DPS・配当性向

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前年比%2012201320142015201620172018201920202021
EPS-6.9%5.5%3.9%-39.2%51.2%51.5%-34.3%-61.0%246.9%10.9%
DPS8.6%7.0%7.0%5.7%2.7%1.5%3.3%3.9%4.5%6.9%

キャッシュフロー(CF)マトリクス

PGのCFマトリクスを紹介します。

今回Morningstarでまとめられているキャッシュフロー計算書を元に2016年~2021年の6年間の営業CFと投資CFデータからCFマトリクスを作成しました。

CFの推移をCFマトリクスで確認することで企業の成熟段階を分析することができます。

以下がその結果です。

CFマトリクスの見方

  • 投資期→安定期→停滞期→低迷期→後退期→破綻期と円を描くような矢印が示されていますが、これは企業の一般的なライフサイクルを示しています。
  • 横軸に営業CF、縦軸に投資CFをとっています。
  • 営業CFがマイナスの場合、ビジネスをすることで損失を出している状態で、プラスの場合はビジネスでキャッシュを得ている状態を指します。
  • 投資CFがマイナスの場合、事業投資をしている状態で、プラスの場合は資産を売却してキャッシュを得ている状態を指します。
  • 点線が営業CF=投資CFのラインになります。
  • CFマトリクス上で点線よりも上に位置している場合、企業のキャッシュは増えていることを示します。

安定期の場合
事業投資も行っているが、ビジネスで儲けた金額の方が大きいことによってキャッシュが増えています。

停滞期の場合
ビジネスでの儲けに加え、資産を売却することでキャッシュが増えています。

低迷期の場合
ビジネスの儲けは損失が出ている状態です。しかし、資産の売却額が本業の損失額よりも大きいため、キャッシュは増えている状態です。

PGの場合、分析期間の6年はビジネスでの儲けによりキャッシュが増えていることが分かります。
PGは連続増配株ですが、CFマトリクスの分析からも毎年CFを着実に増やしており、今後の増配も期待でき、長期保有をする上でも安心感があるではないかと思います。

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